「…っはぁ、はぁ」
逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げるんだ
「っ…はぁ、はあ」
追ってが来てる
捕まったらおしまい
「ぃや…だっ…!っはぁ」
風になるんだ。今だけでいい、風になるんだ
「はぁ、はぁ…っ!!??」
足が滑って狭い道に落下。ゴミ箱とか古い木箱の上に派手な音をたてて落ちてしまった…しまった…!!
「っ…どうすれば…」
奴らも僕と同じ、耳がいいから完璧にここの場所がわかったはずだ。
捕まってしまう…折角、命からがら逃げてきたのに…
「…ぁ」
「…いないな…」
「うん、いない…」
「絶対ここだと思うんだけどなぁ…逃げたかな?」
「多分…ね。足早いしね…」
「そうだよなぁ…よし、別のとこ行くか」
「…うん」
「行った…?」
とっさに掴んだ布で身体を包んで隠れていただけなんだけど…僕を見つけられなかったらしい。
「彼らは嗅覚が衰えてるんだね…」
身体に布を巻いたまま通りに出た。
さすがに、この格好じゃ寒いからね…
「これから…どうしようか…」
僕には帰る場所がない…戻される場所なら存在するが、そこにはもう帰りたくない
「寒い…なぁ…」
寒空の下、雪が降り積もっている道を僕はとぼとぼと歩き始めた