あいつから勧誘された数日後、雷門中のグラウンドに帝国学園のバスがきた。
今日は雷門中と帝国学園のサッカーの練習試合だそうだ。
帝国学園…FFで40年間無敗の最強サッカーチーム
俺が出るはずだった試合の相手…
しかし、サッカーをしていない俺にとってはどうでもいいことだ
勝たなきゃ学校が破壊される…それはそれで迷惑なことだが…
「っはぁ、はぁ、はぁ」
「どうした?まだやるのか?」
「……っはぁ、はぁ」
「これ以上続けても無駄だ」
「まだっ、…まだ終わってねーぞ!!」
あの時しつこく俺を勧誘していたやつはまだ諦めてなかった。他の部員は全員倒れて試合どころじゃない。だが、あいつは立っている。ひとりでまだゴールを守っている。その姿を見ていると胸の奥の熱いなにかがこみ上げてきた
「なぁ」
「あ?…って、転校生!?」
「あいつの名前、なんて言うんだ?」
「え、あぁ…円堂のことか?サッカー部キャプテンの円堂守だよ。極度のサッカー馬鹿」
「そうか…」
円堂…守
「この試合終わったな。前半でこんなに点差ひらいて勝てるわけないよなぁ…あーあ、校舎破壊されんのかなぁ…」
「……」
まだ立っている円堂守
そして、さりげなく残っていた眼鏡をかけた奴…そいつは校舎に向かって駆け出したかと思うと、ユニホームを脱ぎ捨てて走っていった
背番号10番のユニホーム…
ユニホームだけならまだしも…10番
「…………」
「これで、終わりだ」
「はぁ、はぁ…こい!!…え」
雷門のユニホームは初めて着たはずなのに、何故か懐かしさを覚えてしまう
少しかたい試合中のグラウンドに俺は足を踏み入れた
「豪炎寺…!!」
「ふっ…来たか」
夕香…母さん…今回だけ許してくれ
俺はあいつの闘志に力を貸すだけだ…
だから…
「いっけぇえええええええ!!!豪炎寺ぃいいいいい!!!!!」
そして、俺は封印してきた必殺技を使い、1点を取った
帝国は雷門に一点取られた途端に試合を放棄し、去ってしまった