「はぁ…は、ぁ…おかしい…」

彼に逃がしてもらってから一時間は経ったはず…いや、下手したら2時間は経っているかもしれない。



「まさか…」














ケ サ レ タ ?











「!そんなことない!!彼は…すぐに追いつくって言ってくれた!!追いつくって…あ、れ?」




もし、もしもだけど




追いつくが別の意味だったら?





僕はもうすぐで完全に溶けてしまう
すでに、足が無くなってしまった





追いつくっていうのが…“今”ではなく、“未来”のことを指していたとしたら?















「っ…そんなっ…!!」

僕なんかのせいで彼まで消えるなんて…そんなの…

「僕…最低じゃないか…!!」

一つの命を捨てて自分の我が儘を貫き通したなんて…

確かに、僕は自分が望んだ死に方で消えたいと言った

僕が望んだ死に方は…










「彼の傍で…消えたかったのにっ…!!」



僕が消えるまでを見届けて欲しかった

一緒にいたかった

最後の話をしたかった






「彼がいなきゃ…意味ないじゃないかぁ…」


目から出るのはもう、氷ではない
冷たい雫だった






「会いたい…会いたいよぉ…早く来てよ…僕、最後まで一人ぼっちなの?一人はやだぁ…」




氷の天敵だった炎

名前すら知らない

だけど、こんなに彼を求めるのは何故だろう?

なんの感情?
教えてよ…僕に教えてよ


「ぅぁああああああ…ああああああ」





















「最後まで泣き虫なんだな…お前」

「え…」

聞いたことのある低い声がした

まさか…













「きみ…は…!!」
「悪いな…待たせて…」


ずっと待っていた『炎』がいた
大きな木にもたれかかっている



「爆風で飛ばされて…運が良かったみたいだ…あのままじゃ、俺は消えてた」
「爆…風?」

その単語に何か引っかかった

「悪いが、お前の国は俺が消してもらった。今じゃ彼処は水しかないだろうな」
「そう…なんだ…」

僕は身体を引きずって彼の傍までたどり着いた
彼は僕の様子を見ているだけだった

「そんなに近づいていいのか?」
「いいよ。僕、もうすぐで消えちゃうし。最後くらい君に触れたい」
「そうか…じゃあ




























一緒に消えようか…」












「え…」

そういうと、彼は僕の方に倒れ込んできた
僕も支えられなくて一緒に倒れる



「僕は…君を道連れになんてできない…!!」
「大丈夫だ…俺ももうすぐ消えるから」
「え?」



彼も消える?

どうして?



「さっきの戦いで俺の中の炎の力は全て使ってしまったんだ…生命の炎まで…」
「そ…んな…」
「俺が自分で決めてやったことだ。お前は気にしなくていい」
「でも…!」









手に温もりを感じた


その瞬間、右手は消えてしまった








「今は…これで我慢な」
「へ…」

彼は僕の右手の甲に自分の唇を押し付けたのだ


「俺は生まれ変わっても、あなたのそばに立ち続けることを誓います」

思考が一瞬とまった
ズルい…不意打ちだよそれ…
嬉しくて綺麗に笑えない
僕の顔は今、ふにゃっとしてて気持ち悪いだろう

だけど…









「僕も…誓います…!!」




そして、僕達はお互いに抱き合って
静かに消えました








未来への誓い



















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