「やっぱ努力したけど、無理だった」
「………」
「僕一人じゃ何もできないってわかった」
僕達、『氷』には仲間なんていない。一人一人がバラバラで自分の仕事をしている。ただ、物質を凍らせるだけの作業なのに上手くいかない。いつもなら、アツヤと一緒に仕事をしていたけど、今はもういない。
僕らは二人で完璧だった。
『氷』達の中でトップだった。
でも、アツヤが死んだ
僕はもう、完璧になることができなくなった
「どうすればいいんだろうね…僕、もう皆のお荷物だよ…」
「努力は報われるはずだ…」
「そんなのきれい事だよ。僕はもう、お払い箱だ」
それは消滅を意味する。
「きっと、僕は消えるよ。今トップの『氷』に取り込まれるんだ」
「…おまえはいいのか?」
いいんじゃないかな?だって、この世界で生きる意味なんてない。もう、失ってしまったんだ…でも、心残りがあるとしたら…
「友達が…欲しかったかな…」
「俺は違うのか?」
「え?」
時間が止まったような気がした。
彼が友達?『炎』が?え?なにそれ?
「君が友達?天敵が友達だなんて…どうかしてると思うよ?」
「そうだな…でも俺は、お前のことを友達だと思ってるぞ?」
「え…」
僕が友達?なにそれ…
「…君って馬鹿なの?」
「ああ、馬鹿だが?」
自然に溜め息が漏れた。馬鹿だ…自分の天敵を友達呼ばわりするなんて…意味が分からない。
「君がそう思うのは、君がイレギュラーだから?」
「そうかもな」
「そう…」
なんか変な気持ち…胸があったかい。
改めて自分にも感情という物が存在していすことが確認できた。心臓の辺りがふわふわしている感じ…頬に熱が帯びる感じ…全部ひっくるめて感情なんだ…
「………」
「否定しないってことはお前も俺のことを友達だと認めてくれてたって解釈していいか?」
「…勝手にしたら?」
”友達“
なかなかいい響き…
だけど…
何か足りない気がする…
なんだろ?
その感情がわかるまであと…