「雨、止まないな…」
「とりあえず、明日まで待とう。少しはマシになっているかもしれない」

時刻は夜の11時。僕達は寝る準備をしていた。夕飯は豪炎寺君と鬼道君と風丸君が腕を振るってくれて豪華なご馳走をいただいた。残り物の肉祭り、しかも久しぶりの大勢での食事に僕は昨日までの寂しさなんかなかったかのように、夕飯を楽しんだ。その後は順番でお風呂に入って、テレビを観てダラダラと過ごして今現在といったところだ。
僕の部屋に二枚の敷布団を引いて、洗濯した布団も準備。さて、ここからが問題だ

「誰が僕と寝るの?」

4人とも忘れていたようで一瞬フリーズ。そして、3人は同時にある人物に指を指した。

「「「豪炎寺」」」
「何故だ」
「一番身体がデカい」
「一番小さい吹雪と寝ればちょうど良いだろ」
「あれっ?おかしいな、目から雫が…」
「円堂に鬼道!もうちょっとオブラートに包めよ!」
「お前ももうちょっと頑張って包もうな」

こんなやり取りの後、電気を消して消灯。白夜は位置、寝相の関係で鬼道君の隣で寝ることになった。ベッドの上だと狭いし、キャプテンの隣だと潰される可能性が高いらしい(風丸君談

「じゃあ、おやすみ」
「おやすみー」



***


お、落ち着かない…

夜中の1時を回った頃、僕はまだ起きていた。隣には豪炎寺君。僕は壁側を向いてひたすら目をつぶったりして寝ようとしてたんだけど、寝れない。隣には誰かがいるというのに落ち着かない。久しぶりなのだ。誰かと一緒に寝るのは。

「(う、うごけない…)」

僕が動くことによって豪炎寺君を起こしてしまうかもしれない。そう考えてしまうと微動だにできない。どうしよう、寝返ったら目の前に豪炎寺君が…、いやいや、そう考えると僕の真後ろに豪炎寺君が…!!ああああ、意識したら余計に緊張してきた…!!僕の馬鹿!!
そろりと足だけ動かしてみると、ひたりと生暖かいモノに足の裏が触れた。反射的に足を引っ込めてしまい、壁に膝をぶつけてしまった。

「〜っっっ!!!?い、たぁ……」
「ぶっ…!!」
「え?!ちょっ…」

後ろから聞こえてきた吹き出した声に僕は寝返りをうった。さっきまで、あんなに緊張していたのに、あっさりと豪炎寺の方を向いてしまった。暗闇の中だから豪炎寺の顔は見えないが、明らかに笑いを堪えている。ぷるぷると震える振動がこちらまで伝わってくるから一瞬で予想がついた。

「ちょ、笑わないでよ…!」
「悪い、お前があまりにもあからさま過ぎるから…!」
「うぐっ…」

バレてた。ていうか、豪炎寺もずっと起きていたのかな?キャプテンは完全に熟睡してるとして…鬼道君と風丸君だって寝てる…はず!笑いが去ったのか、豪炎寺君はじっと僕を見つめ出した。瑞々しく潤んだ真っ黒な瞳がきらりと光っている。

「豪炎寺君も寝れないの?」
「元々、俺は遅く寝るタイプだからな、まだ眠くないんだ」
「そう、なんだ…」

僕なんていつも12時越す前には夢の中なのに…豪炎寺君はお勉強で遅くまで起きてるのかな?ぼーとそんなこと考えていると彼の大きな両手が僕の頬に添えられた。

「な、なに?」
「やっぱり、少し痩せたんじゃないか?」
「そう?」

ほら、と言いながらぐにぃと僕の頬を容赦なく引っ張る。痛い。仕返しに僕も豪炎寺君の頬を引っ張り返す。狭いベッドの上でどたばたと人暴れるしているとキャプテンの寝言によってピタリと停止。我に返った。

「?、豪炎寺君?」
「ちょっとベランダに出ていいか?風に当たりたい」
「あ、うん。いいよ」

あんなに激しかった雨は殆ど止んでいるようだった。ストンとベッドから降りると彼は居間へと姿を消した。この部屋からでもベランダに出れるが、豪炎寺君なりの配慮なんだろう。床にはキャプテン達が寝ているし。
暴れたせいで僕も身体が暑い。目が冴えてしまったのもあり、僕は彼の後を追って自室から出た。





「なんだ、お前も来たのか
「うん……ってなに?」

再び頬に手を添えられてガン見。やめてよ、顔近いし恥ずかしい。視線を斜め下に逸らしてると、豪炎寺君はやっぱり、と呟いた。

「ちゃんと肉食え」
「…わかってるよぅ」
「寂しいなら、俺を呼んでもいい」

え、と反射的に笑ってごまかそうとしたが、彼の真剣な顔を見てその嘘を飲み込んだ。やっぱり気付いてたのか…。

「…豪炎寺君は僕のお父さんみたいだ」
「鬼道曰わく、お前は俺の患者らしい」
「何それ」
「救ってやったんなら、最後まで面倒見てやれ…だとさ」
「ぼくは、もう大丈夫だよ…」
「サッカーではな」

…痛いとこ突かれたなぁ。ふっと笑ってみせる彼に僕は参りましたと言って両手を上げた。






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -