「覚えてたか……」
「忘れるわけないじゃないか」
「いや、昨夜は酔ってたし…」
「僕を嘗めて貰ったら困るなぁ?」

1月1日の午後10時過ぎ、豪炎寺は吹雪に組み敷かれていた。完全に立場は逆だが、今の豪炎寺は先程まで飲んでいたアルコールによって、力があまり入らない状況だった。

「豪炎寺君がワクじゃなくて助かったよ」
「だからって、忘れた振りしてあんなに飲ますか?!普通っ…!!」
「だって君、ザルじゃないか」

にこにこと微笑む吹雪を見て豪炎寺は後悔した。何が二日酔いしたくないだ、完全に復活してるじゃないか、と頭の中で悪態を吐くしかなかった。
しかし、後悔しても遅い。吹雪の手は豪炎寺のカッターシャツのボタンへと伸びる。ぷちぷちとゆっくり外していき、全てのボタンを外し終えると吹雪は生唾を飲んだ。

「……いいなぁ」
「何がだ」
「筋肉、付いてて」

ぺちぺちと豪炎寺の腹筋を叩くと吹雪は自分の服に違和感を感じた。ふと視線を服にへと落とすと、豪炎寺の手が裾から入り込み肌をなぞる。

「ちょっ…」
「新年早々、攻められるのはフェアじゃない」

へそから上にゆっくりと上っていく手に吹雪はふるふると身体を震わせる。抵抗する気はないようだ。くすぐるようなソフトタッチでついに右胸の頂に触れたが、何故か集中的に攻めずにそのまま下へと下りていった。

「触らないの?」
「好きなのか?乳首」
「いや、好きではないけど…」
「じゃあ、いいじゃないか」

完全に言いくるめられて豪炎寺のボディタッチが再開された。しかし、豪炎寺が触るのは上半身だけ。しかも、胸の頂は触れない。完全に焦らされている。

「豪炎寺君、焦らし方が遠回りすぎ」
「この状態だとやりにくいんだ」
「でも、力入らないんでしょ?」
「誰のせいだ」
「………僕だけど」

だって、弱ってる豪炎寺君とヤりたかったんだもん!!なんて言われて豪炎寺が何も思わないわけがない。
ガバッと勢い良く起き上がり、力任せに吹雪を組み敷いた。

「あ、れ…?」
「よくもまぁ、やってくれたな。吹雪」
「え、あのっ…ちょっと」
「新年早々、お仕置き…だな」














***




「っは、やめ………ぁう!!」
「……吹雪、もうちょっとこっちにこい」
「うぅ……ん、…はぅ?!」

豪炎寺の指は尻の奥まった所にある蕾へと伸びていき、ローションを付けている指がくにくにと吹雪の中へと入っていく。確実に広げるように長くて骨ばった指が奥にへと進んで行き、四つん這いになっている吹雪はその快感に耐えるしかなかった。

「おく、行き過ぎぃ…ぁ、ふぁっ…うぁ!」
「お前は締め付けすぎだ。抜けない」
「そ、な…こと…はぁ、あ…んぁ」

豪炎寺は全て埋まってしまった人差し指抜こうと試みるが、やはり抜けない。仕方なく、このまま解すした方が良いと結論に至った豪炎寺は自分の指に更にローションを垂らし、中指を挿入した。ずぶずぶと容赦なく割って入ってる指に吹雪は喘いだ。

「な、で…増やすんだよ、ぉ…!!」
「抜けないからだ」

さらりと答える豪炎寺の指は確実に中をほぐしていく。吹雪は口論する暇もなく、快感に溺れていった。
じゅぶじゅぶという音を立てながら的確に吹雪の弱いところを刺激していく。それに耐えられなくなった膝がずるっと後ろに滑った。

「吹雪、もう少しだから。頑張って膝立ててくれ」
「ゃ、も…むり…」

枕に顔をうずめたまま、吹雪はいやいやと首をふる。仕方なく、豪炎寺はずるりと一端、指を抜いた。抜く時、少しだけ抵抗があり、まだ完全には解れていないことを物語っていた。

「んぁ、………へ?!」

再び二本の指が入ってきたと思うと、それらは挿入を繰り返すのではなく、くぱっと蕾を広げた。流石の吹雪もその行動に羞恥心を抱いて豪炎寺に抗議したが

「10秒でいいから腰上げろ。手伝ってやるから」

と返ってきて、完全に吹雪の抗議の声はスルーされた。渋々と蕾を広げられたまま腰を上げると豪炎寺の片足で四つん這いの体勢ができるように腹の下に固定された。いい加減、広げるのを止めてくれないかと声に出そうとした瞬間、蕾に冷たい何かが触れた。

「ぇ、なに…!?ぁ、んんっ…ふぁあ、あ!!」
「何って、ローションだが」
「ロー、ション…?!…ひぁっ?!」

広げられた蕾の中にとろみのある液体が入ってきたのだ。豪炎寺は解すのを諦めてローションの滑りで自身を挿入するという考えに至ったらしい。と、言っても今、豪炎寺は少し酔っている状態だ。あまり深く考えずにローションを吹雪の中に注いでいるに違いない。

「や、っ…はいって、くるっ…!ちょ、お願いぃ…も、やめて、ぇ…っ」
「ん、もうちょっと」

とろとろとゆっくりローションを入れられる感覚に吹雪はぶるりと身体を震わせた。ローションを瓶の半分ほどを入れたところで注ぐのを止め、指も抜き、固定していた片足も外すと吹雪は倒れ伏し、そのままぴくりとも動かなかった。

「吹雪?」
「ん、ぁ…?」
「大丈夫か?」
「大丈夫、じゃないよ…。完全に今、意識飛んでたもん…!なんでローションをそのまま入れるのさ…あんな、入れ方、か、浣腸とかわりないじゃないかぁ……!!」
「んー、……そうか?」
「やだ、この人酔ってる」

膝を下ろして完全に横になると吹雪は仰向けになった。中にあるローションが気持ち悪いのか下腹部を押さえて微妙な顔をしている。豪炎寺はというと一度フラフラとベッドから離れて引き出しの中からあるモノを持って戻ってきた。

「なに、それ…」
「○ヒ」
「ム○?!」

さっきの行為で朦朧としていた意識が一瞬で覚醒してしまった。豪炎寺が持ってきたのは夏場に活躍する液体状のかゆみ止めの薬。その薬が入っている容器を見て吹雪は青ざめた。真っ白な円柱で蓋はつるりとした丸いフォルム。長さは短いが、全体的な形としては性器に似てなくもない。というより、似ている。

「まさか…それ、入れるんじゃ…」
「?、いや、違うが…」

まさかの否定に吹雪は一瞬きょとんとした。そして、予測不可能な使用法に再び青ざめていく。じゃあ、何に使うつもりなんだ、と。

「ちょっ、………へっ?!」
「?、吹雪?」

突然じわじわと疼き出した奥に吹雪は悶えだす。急に訪れた内壁の飢餓感によって混乱に陥った吹雪は豪炎寺がいるのにも関わらず、性急に蕾に指を入れた。

「ふぁ…ぁっ、アぁ、ああ、んんっ!!」
「どうしたんだ?!」

いきなり始めた自慰に豪炎寺は吹雪の肩を揺さぶった。しかし、吹雪は瞳に涙を溜めて虚ろな顔で豪炎寺を見つめている。ぐちゅぐちゅと水音が激しさを増すが、吹雪が達する気配はない。

「ぉく…っ、かゆ、いぃ…!!あぅっ」
「奥?」
「とどかなっ…ひゃあぁっ…ぅあ」

いきなりの吹雪の状態に豪炎寺は鈍っている頭をフル回転させて思考した。そして、一つの答えへと辿り着く。スタンドに置かれた中身が半分ほど減ったローション…

「まさか…媚薬入り…?」
「ぇ、うそ…あ、あぁっ、あ」

原因を突き止めても吹雪の自慰は止まらない。豪炎寺は吹雪に覆い被さり、挿入を繰り返している指をゆっくりと抜かせた。全部抜き終わった瞬間、吹雪の身体がびくんっと跳ねたが、自身からは先走りが大量に溢れるだけだった。

「おねがっ、…かゆぃ、いれてぇ…おねが、い…」
「ふぶき…」

もどかしい、という顔で首に絡みつく吹雪の腕。豪炎寺はあやすように優しくキスを送る。軽く触れるキスを降らせた後、舌を絡ませてお互いが溶けるようなキスをしながら豪炎寺の指が吹雪の自身に触れた。先走りが垂れ流しの状態だったそれを軽くさすってやると吹雪の身体がびくんっと面白いくらい跳ねるが、それでもキスは止めない。

「ちゅ、…ぷはっ、ご、ぇじくん…!ぃ、きたぃ…ぁあ!」
「これ、使うけどいいか?」

目の前に出したのはさっき豪炎寺が持ってきたかゆみ止めの薬。豪炎寺曰わく、挿れるのではないと言っていたが今の吹雪にとって、逃げることの出来ない激しい快感を吐き出すためにはそれに頼るしかなかった。

「ぅん…う、ん…!!なんでも、いいからぁ…、はやく…ぁ」
「ん、わかった。少し滲みるかもしれないが、我慢してくれ」
「ぇ、しみ…?…ひゃっ?!、ふぁあ、あアっ?!」

自身の先端にひんやりとした液体が塗られた感覚に吹雪の身体が跳ねた。ゆっくりとした動きで裏筋や根元まで塗られていく。少し尿道にも入り、ジンジンとした刺激にシーツを握り締めながら何とも言えない感覚を必死に耐えていた。

「ぁああ、アああっ!!熱っ…ぃや、つめたぁ…やぁああぁああアっ、っあ!!」
「熱いか?冷たいか?どっちだ」
「やだやだっ…ぉかしくな、るっ…!!たすけ、てぇ…!!」

開けっ放しの口の端から唾液が伝い落ちた。豪炎寺はそれをペロリと舐め、そのまま口を吹雪の自身まで持って行き、尿道に向かってふっと少し強めに息を吹きかけた。

「ひんっ?!ぁ、あああぁっ!!ふぁ、あ」

悲鳴に近い叫び声を上げながら吹雪は大量の白濁の液を吐き出した。それは自分の身体や顔にもかかってしまった。しばらく、荒い息遣いで遠くを見つめるように甘い余韻に浸っていたが媚薬の効果はまだ切れていないようで、すぐにまた内壁の痒みが襲ってきた。そして自身に塗りたくられたかゆみ止めの薬の影響ですぐに先走りが大量に零れ落ち始めた。

「触れなくてもイけたな」
「ひ、ん…もぉ、やだぁ……ん、すーすーするの、ぁ、とまんないっ…」
「お仕置き、だからな」
「ごめんなさい、ごめ、なさぁ、あっ…!も、ほんと、に…ゆるして…」
「ん、ごめんな。やりすぎた」

本格的に泣き出した吹雪を豪炎寺は抱き締めてあやした。瞳からはポロポロと涙が伝い、豪炎寺がそれをぺろりとなめとった。ごめんな、ごめんな、と言い続ければ吹雪は胸の中ですんすんと泣きながら甘える。豪炎寺はゆっくりと吹雪を引き離すと再びベッドから離れてウェットティッシュを持って此方に戻ってきた。それを数枚取り出して吹雪の自身を拭ってやる。媚薬の影響か、拭っているだけでも吹雪の口からは甘い媚声が絶えない。

「もう、スースーしないか?」
「うん…。でも、」
「でも?」
「にょ、…尿道に、…少し入ったみたいで…き、きもちわるい…」

困ったように眉を下げ、目を潤ませながらどうしようもない快感に耐えていた。吹雪本人もどうしていいかわからず、もどかしい感覚に自分の手の甲にかじり付いて何とか耐えている状況だ。それを見た豪炎寺は吹雪の手を口から引き離した。手の甲はくっきりと歯形がついて血で滲んでいる。ぼぅ、と熱に浮かされた目で豪炎寺を眺めていると覆い被さられて性急なキスを送られた。

「ん、ちゅ…っは、ぁ…んんっ」
「ふぶき、…いれていいか…?」
「へ、へへっ…ごーえんじく、よってる…」
「誰のせいだろうな」



今度はちゃんと優しくするから




耳元でそう囁くと返事を返すように吹雪は腕を豪炎寺の腰に回した。









「ふ、ぁん!…あ、ぁあ…ああっ…!!」
「は、……キツい、か?」
「だ、いじょー…ぶっ…!!」

自身が半分ほど入ったところで少し休憩を取った。豪炎寺本人は辛いはずだが、吹雪のためにと思って気を使っているのだろう。吹雪はそれがとても愛しくて、反面自分のせいで我慢させていることに申し訳なくなった。

「も、いいよ…は、君のぜんぶ…ちょうだい?」
「ん、わかった…」

一つだけ、キスを落として再び吹雪の中に愛しの凶器がせり上がってきた。ゆっくりとした動きで奥まで侵入してくるそれは、いつも自分を壊してしまう快楽の凶器。それになら…彼になら殺されてもいいと何度思ったことか…。吹雪は快感を受け入れながらも笑っていた。へにゃり、と弱々しいがそれがとても官能的で…。

「吹雪…写メっいいか?」
「なんで雰囲気ぶち壊すかなぁ!!…っ、」
「大声だすな。持って行かれそうだ」
「だ、れの…せいだと…!!ん、あっ!!」

中にいる凶器が少し動いただけで吹雪は快感を感じていた。そして、耳元で


「自分のせいだろう?」


そう囁かれ、吹雪が反論しようとした瞬間に豪炎寺の本格的な挿入が始まった。不意を付かれた吹雪はすぐに達してしまった。思わず大きめな声の媚声を発してしまったのと達してしまったのとで、頬や耳を真っ赤にして、それを隠すように腕で顔を覆った。

「ふぶ、きっ…かお…っ!!」
「やだやだ、ぁあっ…!はずか、しぃ、んぁ…!!あぁ、あ!」
「今更っ、だろう…?」
「あっ、あっ、あっ、ぃ、あぁっ!や、だぁ…!」

いつもより敏感になった中を擦り上げられながらも、腕をどけることを拒否。腕を目に乗せていることによって自分が吹雪を泣かせているように見えて豪炎寺の興奮はさらに増した。しかし、それでも吹雪の顔が見たい。仕方なく、達したばかりの吹雪の自身を握り、先端を引っ掻いた。吹雪はこれが一番好きなのだ。

「ひゃあっ!!っ、ちょ、ぉ…?!んむっ、んんっ」

達しはしなかったが、とろりと少し白濁が混じった先走りが零れ落ちた。快感で油断した吹雪の両手をそれぞれ左右の頭の横に固定し、指と指の間に自分の指を滑り込ませて手を、繋いだ。
同時に口には舌を入れてキスをする。吸ったり甘噛みしたりと、お互いがお互いを貪り合う。一緒に溶けてしまいそう、一つになりそう、それがとてもしあわせで…今年だけじゃなく来年も、再来年も…いや、一緒に死ぬまでこんなしあわせが永遠に続けばいいのにと思った。

「は、ちゅ…、ぼく、いまなら死んでもいい……」
「は、ぁ…同感、でも…おまえと一緒じゃないとやだ」
「ふふっ、キミが『やだ』なんて、ぁ…かわいいね…」

吹雪はぐっ、と腰を下げた。豪炎寺が微かに呻く。それを合図に律動が再開された。遠慮無しに豪炎寺は腰を揺すって自身の抜き差しを繰り返す。突かれるたびに吹雪の口からは甘い声が漏れて更に豪炎寺を煽る。前立腺に向かって勢い良く突いてやれば、吹雪は短い悲鳴を上げながら中を締め付けてくる。

「ぁっ、あぁ、んっ、ひぁっ…!!イく、っふぁ、あぁアあぁぁっ!!」

吹雪の自身からは殆ど精液は出ていなかった。ぎゅっと自身を締めつけられながらも豪炎寺は挿入を繰り返す。それがどんどん早くなっていく。吹雪はもう何もかもぐちゃぐちゃだった。媚薬のせいでもあるが、快感についていけていないのだ。快感を受け流せずに全て溜め込み、ずっと達しているような絶え間ない快楽を必死に堪えていた。

「も、出すぞっ…!」
「うんっ…うんっ…!!いっぱい、んぁっ、出して…!!僕の中に、全部っ、ちょうだいっ、ぁあっ…ふぁ、ぁああアああぁぁぁあっ!!」
「ーーぁ、くっ!!」

前立腺をぐりぐりと攻めると吹雪は身を震わせて数回目の絶頂に達した。刹那、びくんっと豪炎寺の身体が跳ねると自身も一緒に震え、同時に熱いものが吹雪の腸内を満たしていった。
力尽きた豪炎寺が覆い被さった時にぎゅっと手を握り合う。それだけでも愛しくて、愛しくて、再び吹雪は豪炎寺に気付かれないように小さく微笑んだ。










「……死んだ」
「自業自得だろ?」
「媚薬使うなんて…●ヒ塗るなんて…新年なのに…姫初めなのに………変態だぁ!!豪炎寺君、変態だぁ!!」
「お前が俺にあんなに酒を飲まさなければ、こんなことにはなってなかったんだがな?」
「すみませんでした」






なんだかんだで二人の姫初めは幕を閉じたのだった










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