「…あ、あぁ…」





暑い…










つい昨日、僕はイナズマジャパンの代表に復帰するためにライオコット島降り立った…けど、






「暑い…」





この暑さは予想してなかった。








「はぁ…ぁあ、はぁ」
「どうした吹雪…病み上がりなんだから無理すんなよ」
「う…ん、大丈夫」

やっぱり、「暑いからキツい」なんて言えない訳で…

昨日、合流したときにわかったんだ。
みんなは確実に強くなってる。でも、僕の実力は韓国戦止まり。この差を次のアメリカ戦までにどうにかしないと…

「…あっつ」

でも、やっぱり暑さを紛らわせない。

「ぅー…あぅ」
「吹雪、大丈夫か?なんかフラフラしてるぞ?」
「大…丈夫だ…よ?」
「暑いのか?」
「…暑…くない」
「嘘付け」

豪炎寺君にはバレちゃったみたい。あーぁ…

「ほら、日陰行くぞ」
「やーだぁ…」

ズルズルと僕を引っ張っていく豪炎寺君。あー…身体に力が入らないや…



























「はぁ…」
「ほら、飲め」
「ありがとう…」

豪炎寺君から貰ったスポーツドリンクを全て飲み干して、とりあえず横になった。豪炎寺は僕の隣に腰掛けて、クーラーボックスをゴソゴソと漁っている。

「軽い熱中症だな、ほら」
「ひゃっ!?冷たっ!!」

頭に保冷剤をのせられた。あー、冷たくて気持ちいい…


「別に焦らなくてもいいんだぞ?」
「え?…そんなことないよ」

ごまかしてみる。ま、結果は見えてるけど

「嘘付け」
「あいたっ」

やっぱりね。ほっぺを抓られた。豪炎寺君には嘘が通用しない。僕、結構嘘吐くの上手いはずなんだけどなぁ…
キャプテンや鬼道君は騙されるのに、豪炎寺君だけには通用しない。

「…吹雪?」
「豪炎寺君、僕サッカーしたいなぁ」
「今は駄目だ。本当に倒れるぞ」 
「えー」
「えーじゃない」
「ケチー」

そりゃ、誰だって焦るさ。僕一人だけ足手まといとか嫌だもん。久遠監督から必要とされた期待を裏切りたくない。僕のために離脱した栗松君の気持ちを無駄にしたくない。白恋中のみんなの期待に応えたい。

「…がんばらなきゃ」

みんなにがっかりしてほしくない

目を瞑る。視界が一気に闇に支配される。額の冷たさを感じながら、気持ちの整理をする。正直、まだ混乱してるんだ。夢みたいだもん、代表に復帰できるなんて。

またみんなとサッカーできるなんて。


「ごーえんじくーん」
「なんだ?」
「サッカー…したいなぁ」
「しつこいな、お前も」

あははと二人で笑いあう。幸せだなぁ

「あ、そうだ。吹雪、起き上がって目瞑れ」
「え?いいけど…」

むくりと起き上がって、豪炎寺君と向かい合わせに座った。そして、目を瞑る。

「なになに?なにする…っっつ!!??」





















お腹に急激な冷たさ。鳥肌が立つ。










「ひゃぁあああああ!!!???ちょっ…豪炎寺君!?しゃっこっ!!じゃなくて、冷たい冷たいぃいいい!!!!」

期待した僕が馬鹿だった。豪炎寺君ってば、僕の服の中に沢山の氷を入れてきた。

「ははははっ!我が儘言うからだ」
「ちょ!酷いよ!!あー冷たい!!」

おかげで方言でちゃったじゃん。恥ずかしい…

「気持ちよかっただろ?」
「心臓とまるかと思ったよ…」

氷のせいでユニホームがびしょびしょ…どうしようこれ…

「ほっとけば乾くだろ。暑いし」
「まー、そうだけど…」









あ、そうだ!










「豪炎寺君っ豪炎寺君!!」
「なんだ?」
「後ろ向いて!!」
「後ろ?…あぁ、なるほど。いいぞ」

ん?バレちゃったみたい?ま、でも豪炎寺君騙されてくれるみたいだし…甘えちゃえ!











そして、僕はお返しに豪炎寺君に大量の氷をぶちまけた。







雪解け水













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