「ほら、そこに座れよ」
「はぁ…」

あの後、そのまま図書室まで足を運んでしまったが…もしかして二人っきりなのだろうか?え、気まずっ
俺はそのまま霧野先輩に案内されるがままに机に着席。先輩は奥の本棚へと姿を消してしまった。おすすめの本を教えてくれると言っていたから持ってきてくれるのだろう。なんとなく、慣れない図書室で一人だと落ち着かず霧野先輩のあとを追いかけた。

「どうした狩屋」
「図書室、落ち着かないんです」
「あー、転校してきたばっかだもんな。お前」

そうなんです。そして、ぶっちゃけここの図書室初めて入ったんです。

「あ、狩屋。ハリポタ読む?」
「俺に寝ろって言いたいんですか?」
「だよなぁ…」

軽く笑いながら先輩はクソ分厚い本を棚に戻した。別に本を読まなくてもDVDがあるじゃん…なんて思ってしまったが、よく考えてみれば本が原作だから作者に失礼だ。しかも、先輩は文芸部…だと思う。DVDあるじゃん発言をしたら再び脳天チョップを喰らいかねない。俺は余計なことは言わずに口を閉じた。

「ま、ハリポタなんてDVD見たほうが楽だよな」
「………そぉっすね」





20秒前の俺に謝れ、女面め

















「なぁ、狩屋」
「なんですか?」

先輩からおすすめされた本をペラリとめくる。ハリポタじゃないけど。

「狩屋は軽音部なんだよな?」
「そうですよ」
「ギター弾けるのか?」
「まぁ…ガキの頃から弾いてますし…」

ここで初めて本から視線をずらして先輩の方を見た。驚いたことに先輩は子供のように目を輝かせてこちらを見つめている。え、何…

「聴きたい!!」
「は、はぁ…?!」
「聴きたいぞ!!俺、ギターの演奏なんて聴いたことないし」
「嫌ですよ!!なんで知り合って1時間も経ってない人に聴かせなきゃいけないんですか!!」
「客は皆、初対面だぞ」
「そうですけど!!それとこれとは話が別です!!」

えー!!と言う先輩を無視して再び本に視線を戻す。冗談じゃない。なんでこんな奴なんかに弾かなければいけないんだ。大体、ここは図書室なんだ。ギターなんて弾いちゃだめだろ。

「じゃあ、今度は俺から質問です」
「うん?」
「霧野先輩は実際のところ、ホントに付いt…ぐはぁっ!!」



言い終わる前に本の硬い角っ子が俺の脳天にクリティカルヒットしたのだった



















「もうこんな時間か。そろそろ帰ろうか」

俺の大事な脳細胞達が殺されてから2時間後、外は薄暗くなってきていた。時計を見ればもうすぐで6時を指そうとしていた。もうこんなに経ってしまってたのか。本すげぇ

「ん?借りるのか?」
「はい、続き気になりますし…」

この美術部の部員たちがどうなるのか気になる。10年前の事件の真相も

「じゃあ、図書カードと一緒にこっちに持ってきてくれ」
「…残念ながらそのようなものは知りません」
「え?!無いのか?カード」
「貰ってませんね」

多分まだできていなのだろう。中途半端な時期に転校してきてしまったから、先生たちもそこまで手が回らなかったに違いない。

「じゃあ、俺のカードで借りといてやるよ。返却日は2週間後なー」
「え、借りれるんですか?」
「ここの学校は一人3冊まで借りることができるんだ。俺はすでに2冊借りてるからお前の分を借りたって怒られることはないさ」
「そうなんですか…」
「ま、返却締め切りは守れよ。俺のカードで借りてるんだし」
「忘れなかったら守ります」




本を借りて帰り支度を終え、図書室を出た。先輩は戸締りやらがあるらしいから、図書室に残るらしい。手をひらひらと振っている。

「俺は大体毎日ここにいるから気が向いたらまた来いよ。宿題でも本読みにでも来るといい」
「はい…じゃあ、失礼します」
「気をつけて帰れよー」


先輩に背を向けて、元来た廊下を歩く。なんか、今日は疲れた気がする。何回も頭を殴られたからか?女面のくせに中身は完全に男なんだな。思い出すと腹が立ってきた。

「まぁ…また来てやらないこともない…かな」


俺はさっき借りた本を読むために薄暗くなった道を駆けだした。























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