「吹雪ー凹んでんなー」
「あぁ、君か…まぁ、ね」

当たり前だ。よくわからないけど豪炎寺を怒らせてしまったのだ。凹まないはずがない。
吹雪はメイド姿のまま教室の隅っこで丸くなって落ち込んでいた。皆も気を使ってくれているのか、働けとは言わなかった。

「僕、何かしたかなぁ…」
「したと言えばしただろうし、してないと言えばしてないな」
「どっちだよ…」
「人によって捉え方が違うって意味だよ」
「なにそれ…」

更に吹雪は丸くなってしまった。男子はどうするかなぁ…と呟きながら困ったように吹雪の後ろに立っていた。









『ピンポンパンぽーん♪あーあー、えー、マイクテースマイクテース…え、テストいらない?…わかった』

「「??」」

いきなりのマイペースすぎる放送に教室内が凍りついた。お客さんの方はぽかんとしていが、吹雪やその他の男子の店員は眉間に皺を寄せてスピーカーを見ていた。それもそのはず、放送している声の主が吹雪のクラスの実行委員だからだ。もっと詳しく言えば、吹雪にメイド服を押し付けて着ろと強要した本人だ。

「なにしてんだあいつ……」
「さ、さぁ…?」

嫌な予感しかしないのは気のせいだといいんだけど…。吹雪は静かに冷や汗をかいて、放送室にいるクラスメートに祈った。



『只今から1-Cからの特別企画、『スノーエンジェルを捕まえろ☆』をスタートしたいと思いまーす』

スノーエンジェルってまさか…

『スノーエンジェル』という単語を聞いた瞬間、男子の視線が一気に吹雪に集まる。それもそのはず、『スノーエンジェル』というのは吹雪のサッカーでのディフェンス技。この企画に吹雪は関係していると誰もが捉えるはずだ。しかし、当の本人は何がなんだか分からずに、そのままぽかんとしていた。

『ルールは簡単、制限時間内にうちのクラスのメイド服を着た人の尻尾を取った人の勝ちです。えーと、メイドさんは傷つけちゃダメです。鬼ごっこ感覚で参加してくださいね。時間は12時でチャイムが鳴ったら終了です。で、












優勝賞品は『ネズミーランドのペアチケット』です☆』



ガタッと全客が吹雪の方へと獲物を狙うような目で机から立ち上がった。それを見た吹雪は顔を青くしながら逃げ腰。クラスメートの女子からはふさふさの尻尾と無線機を渡された。







『では、よーい…スタート!!!』










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