「馬鹿か僕は…!!」

彼、えーと…豪…なんとか君から逃げて全速力で家まで走って帰宅し、そのまま自室のベッドにダイブ。もう自分が恥ずかしい。

「はぁ…僕は別に友達なんて…」

北海道にいたころには沢山いたんだ。でも、家族の事故や親戚の人達の間をたらい回しにされてる間に人との接し方を忘れてしまって、素っ気なくしか返答できなくなってしまった。





…ただ一人を除いては







「今日も寝てるんだね…」



反応がない。やっぱり寝てるのか



「まぁ、いいか」

僕はうつ伏せの状態から寝返りを打ち、仰向けになる。もう、部屋は真っ暗だ。電気付けに行くのも面倒だ。

「着替えなきゃ…」

その言葉を最後に、僕は深い眠りに落ちてしまった。














「……んぅ?」

遠くで電話の鳴る音が聞こえる気がする。今何時だろう?制服着たまんま寝てしまったのか。どうしよう、皺がついたかもしれない。お風呂も入ってない…あぁ、どうしよう

「…っうるさいなぁ…」

一向に鳴り止まない電話に腹を立てながら、僕は自室を出てリビングにある電話の受話器を取った。

「…吹雪ですけど」

かなり低い声が出た。まぁ、大丈夫だろう。

『やっと出たか…』









は?









「え、いや…は?まさか…君…」
『あぁ、豪炎寺だ』





いやいやいやいやいやいやいや、待って




なんで僕の家の電話番号知ってるの?なんで僕に電話掛けてきたの?なんで?どうして?


『電話番号なら連絡網でわかるだろ。で、何故電話をしたかは…わかるか?』
「わかんないよ。知らないよ」
『…お前なぁ、自分で友達欲しいって言っといて、まさか今まで通りの学校生活を送る気じゃないだろうな?』
「うっ…ていうか、友達欲しいとか言ってないじゃないか!!勝手に解釈しないでよ!!」


『だったら、何であんなこと言ったんだ?』





…独りが好きな人間なんて…いない!!








「…………別に」
『頑固だな。認めろよ』
「僕は今までずっと一人だったんだ。今更人となれ合うつもりはない」
『一人が好きな訳ではないんだろ?なんで、人の好意を簡単に叩くんだお前は』
「…………」


なんでこの人はこんなに僕の領域に深々と踏み込んでくるんだ


迷惑だ



『わかったなら早く用意しろ。何時だと思ってるんだ』
「は?まだ8時…」
『もうすぐでHR始まるぞ!?馬鹿じゃないのか?!』
「ばかって……僕まだお風呂入ってないしご飯も食べてないよ」
『はぁ?!何してるんだ!!朝風呂に入ろうなんて呑気な奴だな!!』
「昨日帰ってきた後すぐ寝ちゃったんだよ!!誰かさんのせいで疲れちゃってね!!」

皮肉たっぷり含んで返してやった。最早、ただの口喧嘩になっている。

『いいか?!一限目には間に合わせろ!!わかったな!?』
「はぁ?!そんなの無理…て…」


切られた

一方的に切られた

ぶちんと



「…っもう!!」


僕はちらりと時計を見て早足で脱衣場へと向かった。










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