―桜って雪みたいだよね
その呟きに俺はふと吹雪を見た。
「やめろ、寒くなるだろ?」
「豪炎寺君ってば、本当に寒がりだね」
クスクスと笑う小さな白。どちらかというと吹雪のほうが雪のように見える。
「北海道を思い出すのか?」
「そうだね・・・それに、僕の地元じゃ桜の木って一本しかなかったからね・・・」
―だから、桜が雪に見えちゃうんだよ
「そうか・・・」
「僕、久しぶりに春を迎えた気がする・・・久しぶりに心が暖かくなった気がする・・・。これは、みんなのおかげだね」
ふわりと笑う吹雪に俺も自然に微笑んだ。
「北海道に帰ったら、桜の木に行こう。チューリップを持って」
「なんでチューリップ?」
「チューリップって『春』って感じの匂いしない?」
桜と雪とチューリップと