「雷門の吹雪ってお前か?」
「……?」

放課後、僕はいつも通りふらふらと寄り道をしながら帰宅しようとしていた。丁度、細い道に入ったときに如何にも柄の悪い男達に話しかけられた。

「(何こいつら…僕、また何かしたっけ?)」

金髪に染めようとして失敗したような茶髪の男やお坊さんのように髪がないやつもいる。皆、耳やら鼻にやらピアスをつけて如何にも不良オーラ全開だった。

「……僕、恨みを売るようなことしましたか?」
「いんや?ただ、東中の奴らをお前一人でシメたって聞いてな。殺りたくなっただけだ」

あー、2週間前のアレかなぁ…あんまり覚えてないからよくわからないけど。
喧嘩売られたのはこの人達みたいな理由だったはず。

いつの間にか僕はこういう輩に目を付けられている。最初は絡まれてしょうがなく蹴散らしただけだったんだ。でも、そいつらが結構有名な不良だったみたいで僕の噂はかなりの広範囲まで広まってしまった。勿論、悪い意味で。


「僕は別に喧嘩が好きな訳じゃないんだけどなぁ…」
「真面目に殺らねぇと…命の保障はねぇぞ?」

中学生が何言ってるんだか…馬鹿みたい

僕の思ったことが顔に出たのか、不良達はいきなり僕に殴りかかってきた。回避できるぐらい遅いが、これが僕の顔に当たれば引き上げてくれるかな?


















やっぱり今の無し。痛いのは嫌だ






「ウラァッ!!!…っ??!!」
「おっ…そい!!!」

くるんと左に一回転。からの回し蹴り。僕の左足の踵は殴りかかってきた不良の頬に命中。汚く顔を歪ませて、どしゃっと音を立てて倒れ気絶。
他の不良達は一瞬何が起こったのか理解できなかったらしく、変な沈黙。

「……て、めぇええええええええええ!!!」
「ざけんなぁ!!!」

そっちから仕掛けてきたんじゃないか。逆ギレ?これだから不良は勘弁してほしい。


「も…やだ…」

言葉にならなかった弱音は不良の叫び声によってかき消された。









「がっ…!!!」
「…?!」

下に向けていた視線をふと変な呻き声を出した方へと向けると、僕が倒した不良とは別の不良が気絶して倒れていた。そして、とんっと足元に何かが当たった感触がし、再び視線を下に向ける。


「…サッカーボール?」



なんでこんなところに?


ボールを持ち上げてキョロキョロと周りを見回していると、後ろから誰かに腕を掴まれ、引っ張られた。

そして、走る

後ろから不良達が「逃げるな!!」とか「追え!!」などの罵声が聞こえるが、僕を引っ張って逃げる人物はそんなことお構いなしに速度を落とす気配はない。

「ちょ、…君はだれっ…?」

夕日が逆光となって、僕を引っ張る人物がわからない。でも、僕の言葉が聞こえたのか…その人は振り返って僕の目を見て、こう言った。




「大丈夫か?!」






その言葉を聞いた瞬間、なんとなく…胸の奥が溶けたような、そんな感覚がした。









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