…12月31日、PM11:37
僕はコタツの中に下半身を入れ、ぬくぬくと面白くもない大晦日の特番を観ていた。
「………」
暇だなぁ…
「………あ」
目の前にあったミカンを一つ取る。そして年賀状を書くのに使っていたペンを持ち、ミカンの皮に落書きをしていく。
「でーきた…」
豪炎寺君一個完成…
食べるのは勿体無いからそのまま置いとくことにした。そして、もう一つミカンを手に取る。
「キャプテン…鬼道君…風丸君に……アツヤ」
4つのミカンにそれぞれ顔を描く。うん、僕って画力低い。
「初詣まで…これで我慢しよう…」
寂しさは紛らわせたような気がする。…気がするだけ。
「ごーえんじくーん…まだぁ?」
豪炎寺君の顔が描かれたミカンをコロコロと目の前で転がして遊んでいると
『HAPPY NEW YEAR!!』
「あ…」
テレビに目を向けると花吹雪やらなんやらが舞っている場面を映し出されていた。
「…なんか呆気ないなぁ」
時間が過ぎるのなんてそんなもんだ…って誰かが言っていたような気がする。
「誰だっけ?」
ミカン炎寺君に問いかけてみるが、勿論返事は返ってこない。
「まぁ…いっか…」
そこら辺にあったクッションに顔をうずめて瞼を閉じる。
寝ちゃおうかな
きっと、起きたときには目の前には豪炎寺君がいて「風邪ひくぞ」って言いながら僕の頭を撫でてくれるんだ。その時は、ぶすくれてもっと甘えさせてもらうんだ。
「僕に寂しい思いをさせた罰だよー…」
テレビの音が遠くなっていくのを感じながら僕は眠りに落ちた。