no title


2014/04/17 01:14
「吹雪先生は今週いっぱいまで出張で不在だそうだー」
「えー」
「先生いないの?」
「つまないなー」
「あと、豪炎寺は公欠なー。授業を始めるぞー」
「えっ、鬼道は何か聞いてるか?」
「いや、俺は何も…」




***

ざわざわと賑わう空港。俺は先生とはぐれないように必死に後ろからついて行く。

「せ、先生…」
「良かったねぇ、お父さんの許可が降りて」
「いや、俺もびっくりですけど、でも…」
「?、どうしたの?」
「なんで…



なんでアメリカ?!」




俺は今、ボストン空港にいる。この前、先生から落ち延びて欲しいと言われてされるがままに今日まで流されてきた。厳格で頑固な父さんの説得は担任の仕事として先生に任せれば普通に許可が降りた。俺は改めて吹雪先生の凄さを実感したのだった。どうやって父さんを説得したのかを先生に聞いてみたところ、『企業秘密っ!』と言われて本気で鳥肌が立ったことは言わずもがな。
そして、次の日には大きなキャリーバックが玄関に用意されていた。なんでも、フクが用意してくれたらしい。『え、俺はどこに行くんだ?!』と家を出るまでずっと考えていた。落ち延びる=国内と思っていた俺は、まさかの海外で混乱を軽く通り越して思考が停止している。なんで…なんで海外…しかもアメリカ…
外人の波を掻き分けて吹雪先生に付いていくと、いつの間にかホテルに到着。チェックインを済ませて部屋へに入る。

「先生…」
「これで安心して話せるね」
「まさか、そのためだけに来たとか言わないですよね…?」
「あはは、さすがにそれはないよ。それに落ち延びるって言っても逃げるんじゃなくて時間が欲しかったんだ。自分と向き合うための時間がね」

先生はハンガーに上着を引っ掛けて、化粧台に備え付けられていたポットに手を伸ばす。安っぽい紅茶を淹れながら


「まぁ、茶飲み話として聴いていってよ。吹雪士郎の人生談をさ」



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