no title


2014/03/07 03:59
「先生」
「………」
「先生!!」
「…………」

ヒロトが帰った後、吹雪先生と俺はその場に立ち尽くしていたが、しばらくすると先生は早足でいつもの昼寝場所の木の所へと向かった。俺もなんとなく追い掛けて呼び掛けてみるが、無視。
先生はいつものように木に登るのではなく、木陰となっている芝生に勢いよく倒れ伏した。いきなりうつ伏せで倒れるものだから若干焦る。少しすると仰向けに寝返って大きな溜め息を一つ。落ち着いたのだろうか?話しかけてもいいのだろうか?
吹雪先生…、その後が出てこなかった。俺が干渉して良い問題ではない気がする。唇を噛み締めて黙りこくっていると先生がクスリと小さく笑った。

「豪炎寺くんは本当に優しい子なんだね…」
「俺、何も言ってませんけど…先生を慰めること何も…俺が言うとただの他人事だから…質の悪い甘い幻聴になる」
「そういう風に考えられるからこそ、キミは優しいんだと僕は思うんだけどなぁ…。でも、結局キミを巻き込んでしまった…迷惑をかけてしまった」

悲しそうに木漏れ日を見つめる先生。ちゃんと言わなければ。俺の意志を。そうじゃないんだってことを。

「吹雪先生、俺は新学期に入ってからずっと迷惑でしたよ」
「?!」
「監視役から目を逸らすために俺をずっと避けて、先生が第一としてた青春ですら犠牲にして俺との会話の機会を無くして…俺は!!迷惑でした!!」
「ご、ごめん…」

起き上がって謝る先生。俺はそんな先生を見下ろす形で目の前に立った。


「俺は先生の家庭の事情に巻き込まれたことは別に迷惑だとは思ってません。先生だって本気で悩んでいるのに…。逆に俺は、先生の力になりたいんです。だから、俺とのいつも通りの関係を崩さないでください!それを崩されることが俺にとっての一番の迷惑だ!!」
「っ、ごうえんじくん…」

俺の名を口に出しながら、先生はゆっくりと立ち上がった。そして、顔を上げると先生は真剣な表情で真っ直ぐ俺を見つめた。初めてみる、先生の覚悟を決めた顔。
吹雪先生は両手を俺の肩に乗せるながら、口を開いた。

「じゃあ、全部話すね。僕のこと、ヒロトくんのことや親戚のこと…。そ、その前にね…」
「?」
「ぼ、僕と…落ち延びてほしいんだ…」
「……は?」









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