no title


2013/03/22 11:22
8月21日


蜩も愛を求める…










「いらっしゃい、豪炎寺君!!ここが僕のマイルームさっ」
「………………はぁ…」



どうしてこうなった?!



今日は昼から図書館で勉強をしていた。隔離されたような空間にある机に座ってだ。そしてしばらく勉強をしていたら目の前に吹雪先生がいて、なんだんだで話をしながら数学の丸付けをしてもらっていたはずだ(吹雪先生は国語の先生であるが、そこはスルーだ)。夕方になって、さて帰ろうと席を立ったら吹雪先生に引っ張られて…。あぁ、そうだ拉致られたのか。……………って、おい!!

「先生、なんで俺を家に?」
「…なんとなく「帰ります」わぁああっ待って待って!!」

玄関前で回れ右。如何にも高級そうなマンションの廊下を歩こうとしたら先生に腕を掴まれた。

「せっかくだから上がっていってよ!」
「えっと…防犯ブザーはっと…」
「豪炎寺君?!僕、不審者じゃないよ?!ていうか、君の担任なんだけど?!」
「しまった…!!夕香持たせてたんだ…くそっ!!」
「本気で悔しがるのやめて?すごく傷付くから」

なんて、やり取りをしながら俺は仕方なく、…そう、仕方なく吹雪先生の自宅へとお邪魔した。
改めて部屋の玄関を見てみると無駄に広い。俺の家も高級とまではいかないが、それなりのマンションだが、このマンションは格が違う。壁紙はクリーム色で不思議な清潔感を醸し出しており、床も人工的なワックスでなく自然素材のワックスを使用しているようで綺麗な艶が雰囲気を出している。靴を脱いでその床に足を置くと何とも言えない柔らかさに驚いた。

「なんか、柔らかいですね…床なのに」
「ん?あぁ、床の下にクッションが入ってるんだって。断熱材の代わりと衝撃吸収材の代わりらしいよ」
「へぇ…」

心の底から感心しながら靴を揃え、先生の後ろをついていく。無駄に長い廊下の突き当たりのドアを開けるとそこはリビングだった。少し散らかっているが、汚いという訳ではない。というより、あまり生活感のない空間だった。

「えへへ、これでも綺麗な方なんだよ?書斎や自室はすごいことになってるから」
「片付けなきゃ駄目ですよ?」
「無理無理、あれはほんとに無理」
「そんなこと言ってるからいつまで経っても片付けないんでしょ?」
「本当に無理なんだって。なんなら見てみる?絶対無理だから」

そう言ってずるずると書斎へと引っ張られ、先生は扉に手を掛けた。がちゃりと音を立てながら開かれた瞬間、乾いた雪崩のような音が暗闇の中に響いた。

「あーあ、書類が崩れちゃったよ」

呑気にそんなことを言いながらぱちりと部屋の電気を付けた。すると視界いっぱいに広がる書類と本の山。部屋の壁がその山によって覆い尽くされている。窓もあるのかもしれないが、見えない。言葉で表せないほどの状態に俺は絶句した。

「…………」
「ねー?無理でしょ?」
「これは…かなり時間が掛かりそうですね…」
「別に掃除なんてしなくていいよ。汚いけど、何がどこにあるのかさえ分かってればなんとかなるもん」
「………」


流石だぜ天才!なんて、思ってないからな決して


そんなこんなで時間的にも夕飯時、俺は吹雪先生の家でご馳走させてもらうことになった。一応、断ったが「なら成績下げる」と恐ろしいことを言い出すものだから従わざるおえなかった。








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