no title


2013/01/09 00:25
7月21日



今年もやってきた。蝉の鳴く季節が



「えーと、明日からは夏休みだけど体調管理には気をつけるように。で!これは僕からの絶対命令なんだけど…」

あぁ、みんな早くしてくれみたいな顔してるな。うん、だってこのHR終わったら下校していいんだもんね。こんな暑苦しい教室より冷房がんがんの家に早く帰りたいよね。僕もだよ生徒達。こんなとこさっさと出て冷房21°の職員室に帰りたいよ。優雅に炭酸飲みたいよ。でもね、もうちょっとだけ我慢してくれよ生徒達。




「宿題は7月までに終わらせて31日に持ってくるように!!」
「「「はぁっっ?!」」」

おぉっ、ハモったね。さすか僕のクラス…団結力はピカイチだね☆
…まぁ、見事にブーイングは起こってるんだけど…まぁ、無茶ぶりだしねぇ…。でもね…

「君達さぁ…わかってるの?中学2年の夏休みだよ?青春真っ只中だよ?将来の黒歴史を生み出すかもしれない時期なんだよ?そんな大切な夏休みを!!1ヶ月と10日、そんな長い休みを宿題でずるずる過ごして、休みをエンジョイしないで何が夏休みだ!!だから10日間で終わらせるように!!」

ばんっと教卓を両手で叩いても生徒達のブーイングは止まない。もー、わかってないなぁ!!夏休みの楽しみ方を!!

「さすがに無茶ですよ先生!!宿題、どんだけあると思ってるんですか!!」
「どんだけも糞もないでしょうが!!『サマー●ーク』英数国理社合わせて50ページ分と読書感想文と僕が出した漢字のプリント!!これだけしかないでしょうが!!『サマ●ワーク』に限っては超基礎のすかっすかな内容だから下手した1日で終わるんだよ?!ねぇ??!!」

ヤバい、完全に熱くなりすぎた…。皆ドン引きだよ…。いや、本当だもん…。

「先生、それでも…この宿題は1ヶ月かけてやる量として出されてるんですよね?だったらそんな10日間でやれって言わなくても…」
「ごもっとも。だけどね…僕は皆に夏休みを楽しんで欲しいんだ。宿題なんかさっさと終わらせてさ、清々しく友達と遊んだりしてね。僕は君達に最終日に宿題を思い出して馬鹿みたいに絶望して欲しくないよ。人生でたった一度しかない中学2年の夏休みを…思い出に残るものにしてほしいんだよ…」

最後の方は声が小さくなっしまった。自分の我が儘を押し付けてるのはわかってる。でも、僕は…









「一人アイス一個」






……え?




ふと声をした方を見ると豪炎寺君が席を立ってカバンを肩に掛けようとしていた。そして、こちらを見ずに再び

「アイス一個。あ、勿論ダ●ツで。宿題提出したらくださいよ、失礼します」

スタスタとドアの方まで歩き、ガラッと戸を開けて出て行こうとした。僕は呆然としていて咄嗟に返事は出来なかったけど、山下君が豪炎寺君を呼び止めた。

「豪炎寺、いいのかよ。先生の無茶ぶりに付き合って…。今回は俺達がキツい思いをするんだぞ?」

そう、だね。僕の我が儘だ。僕は全然キツい思いなんてしない。生徒達のことを思って、と言ってもこれはただのお節介だ。



「ごうえ「は?だってそっちの方がメリットが多いだろ?」


しん、と教室の時間が一瞬止まった。


「先生の言うとおり、宿題はそんなに多くない。読書感想文に時間食うぐらいだ。部活動生はキツいかもしれないが、たった10日だぞ?10日頑張ればあとは好きに出来るんだぞ?しかも●ッツも貰えるし…。そう考えるとメリットの方が多くないか?」
「まぁ、そうだけど…」

反論できない山下君から視線を外して僕の方に向ける。相変わらず眼力の強い目だななんて思っていると

「皆が出さないって言っても、俺は絶対出すんでダッ●用意しててくださいね。それじゃ」

なんて言い残して帰ってしまった。いや、部活に行ってしまった。豪炎寺君が去った後、再び沈黙が訪れたが鬼道君の席を立つ音によってかき消された。

「俺も提出します。なので、俺の分も追加ということで」
「じゃ、俺も!!」
「わ、私も…」
「僕も僕もー」
「先生、ちゃんとダ●ツ用意しててくださいよ?」
「8月はちゃんと振り回してあげますから!!夏祭りとか海とかついてきてもらいますよー」
「先生、俺ガ●ガリ君がいいです!!」

次々と僕の我が儘に付き合ってくれると皆は席から立って言ってくれた。気が付けば全員笑顔で僕の回りに集まっていた。それがとても嬉しくて、幸せで…



「っ……あはっ…!!」





気が付けば僕も笑顔になっていました。













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