no title


2012/12/03 01:19
今日は学年行事のクラスマッチをしている。女子はバレーで男子はバスケだ。バレーは体育館を使い、バスケは向かい側にあるアリーナを使用してる。ベンチには試合しているクラスの別チームが座っていいことになっており、俺はシューズを床に置いてベンチに座っていた。行ったり来たりのする試合をぼんやりとしながら観戦し、心中で小さく応援したりしていた。

「………」
「頑張れー!!西村君!!」
「………」
「おっしいー!!あっ、坂山君!!カウンターだぁあ!!!」
「………」
「いっけぇー!!円堂君シュートぉおお!!!」
「先生」
「何だい?!」
「うるさいです」
「めんごっ」

謝る気0である。

隣で応援しまくる俺のクラスの担任、吹雪先生。超天才の問題教師。顔良し、スタイル良し、頭良しの漫画の登場人物のテンプレみたいな人だ。学生時代の時、謳歌し損ねた青春を求めて今日もこの学校で問題を起こしている…と、言ってもいいくらいズレている。

「豪炎寺君も!!応援しないと!!」
「がんばれ」
「もっと大きな声で!!」
「………」
「あぁ!!鬼道君そこそこそこぉ!!!」

あ、うるさいと思うなら俺から離れればいいんだ。

トイレにでも逃げようとベンチから立ち上がり、コートから離れようとした時、






「よぉし!!僕も参加しちゃうぞぉー!!」
「………はぁ??!!」

聞き捨てならない言葉に俺は勢い良く振り返った。ゼッケンを着ようとしてる先生の元に近づき、それを取り上げる。

「あんた教師だろ!!」
「え?うん」
「うんじゃない!!これは生徒しか参加できないんです!!」
「別にいいじゃないか」
「よくない!!」

えぇー、と残念そうな声を上げる先生をほっといてゼッケンを審判に返した。このままトイレに逃げ込んだら、また先生がろくでもないことをやらかしそうだったから俺は再びベンチに座った。先生はつまらなそうにボールで遊んでいる。

「先生、」
「なんだい?」
「先生はバスケとかしたことあるんですか?」
「んー…サッカーはかじってたけど、それ以外は全然。言葉しか知らなかったなぁ」
「さっき、もし参加してたら先生はただの足手まといでしかなかったと思いますよ」
「さぁね、どうだろーねっ…!!」

ひゅっと何かが風を切る音が聞こえた。先生の方を見ると両腕を上げてボールをシュートした体勢。ボール…、先生が持っていたボールがない。まさかと、思った時には敵のゴールポストの方からガコンという音が聞こえてきた。

「あ、入っちゃったー」
「すげー!!先生、ナイシュー!!」
「え、先生あれで初心者なの?!やったことないんですか?!」
「やべー!!なぁなぁ、先生もチームに入れようぜ!!」
「いいな、それ!!やっべ、ワクワクしてきたー!!」

盛り上がる試合に出場しているクラスメート達。何故かいつの間にか吹雪先生も参加することになっているんだが?!え、ダメだろ普通に!!

「お、おい!!お前らはいいのか?相手は大人だぞ?」

試合相手の選手に同意を求めたが、予想外の返事が返ってきた







「え、別にいいんじゃね?吹雪先生だし」






「は?」
「俺も意義なーし!」
「だって吹雪先生だしな」
「先生、生徒と変わりねーもん」
「おいおい、それはひでーって(笑)」
「だって、そうじゃね?吹雪先生子供みたいだしさー」

あははと笑いあう相手選手の言葉に俺は呆然としていた。 
吹雪先生は生徒から愛されているのか。
そう思い知った頃には先生は嬉しそうにゼッケンを着用し、生徒達に混じってバスケを楽しんでいた。








戻る
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -