エヴァンスとポッターがついに付き合いだしたらしい。




最近ポッターが妙に落ち着いたと思ったら。




ああみえてポッターは結構真面目だ。悪戯に関していえば全く真面目でないが、


その悪戯も近頃はあまり目にすることがなくなり彼女も彼を見直したのだろう。




そもそもはじめから彼女に対する想いは真摯なものだった。


寮の違う私でさえわかるくらいに。









貴方だってわかっていたでしょう、叶わない、恋、だって。


ずっと、見ていたんでしょう、ねえ。













「セブルス、」




あの子のことが好きで好きで堪らないのに、手に入らなくて、叶わなくて、



彼女をみつけたのは自分なのに、ジェームズ・ポッターに横取りされて。悔しくて。


彼女にあんなことを言った。



そうでしょう。





そうだとしても、
そうだとしても言って良いことと悪いことがあるんじゃないの。




悔しくてつい言ってしまったんだとしても。



きっと貴方も後悔しているんでしょう。






可哀相なセブルス。


















「いいよ、代わりにしたって」






それでもいい。



そりゃあエヴァンスが羨ましくて、


私のことを見てくれたらと願ったことだってあったけれど。




私は貴方が好きだから。






貴方が彼女のことを想うのと同じ様に、私も貴方だけを見てきたんだよ。









狡いとはわかっているけれど、その傷口を癒す振りをして貴方に触れる私を許して。





「だからさ、もう泣かないでよ、セブルス、」





「泣いてなんかない。勝手に決め付けるな」





嘘。そんな見え透いた嘘吐かないで。


泣いてる癖に。




悲しくて悲しくて、堪らない癖に。




ほら、膝を抱く手だって震えているじゃない。









「…、私はエヴァンスにはなれないけれど」






「貴方が好きよ」








悲しい哀しい告白だった。自分の弱さを繕う為に、余裕がある振りをした。




こんな真似をして彼に取り入るなど、惨めでしかない。そんなのわかっていたけど。






代わりにしてくれていい。貴方の傍に居られるならなんだっていい。




この手で貴方を慰めることが出来るのなら、惨めだって構わない。








「…あいつのことは」







「あいつのことは、当分忘れられそうにない」









「そうだよね、」





分かってるよ。そんなの。






「、それでもいいの、
傍にいたいの、」




「だからさ、セブルス。
泣いていいよ、」





哀しい淋しいって、私に縋ってよ







「…馬鹿だな」







そうして皮肉に笑って見せる彼に、私は堪らなくなって、彼の華奢な背中を抱きしめた。

びくりと震えた彼の肩口に顔を埋めると、薬品と石鹸の混じった様な匂いがした。














愚かなのは、だれ。












2010/10/31


本当はふたりとも愚かで可哀相ってはなし。傷の舐め合いなんて愚かだけれど、そんな愛もあるでしょう。

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