何時も快活に笑う彼が、(いやーな笑い方もするし悪態もつきまくりだけれど)
きょうは快活のかの字もないくらいに、険しい顔をしてあたしの隣に座っている。
大好きな筈のチキンを目の前にちらつかせても、
その眉間の皺は深く刻まれたまま。
「なーにむつかしい顔してんの」
「シリウスくーん」
「わんわん、」
こんなふうに呼べば、
いつもなら面白いくらいに反応するのに。
きょうはなんだかおかしい。
「ちょっと、もう!」
なんなの!と叫ぶと甘党の(ちょっと彼は異常)リーマスが、こんもりと盛られたチョコレートアイスに手をつけながら言う。
「ユカ、この犬今日はずっとこうなんだよ。犬の癖に何悩んでるんだかね。ねぇピーター?」
「そ、そうだね、ずっとこんな感じだよ」
「へぇ、どうしたのかしら。珍しい。あ、あたしにも少しアイスくれる?」
あたしはリーマスにデザート用の皿を渡し、チョコレートアイスを取り分けてもらった。
ホグワーツのデザートは絶品だ。
「うん。おいし。
ジェームズはなにか知らないの?」
「さあ。流石の僕にもさっぱりだよ。」
言葉とは裏腹に、眼鏡の奥の瞳がにやにやしている。
(うわこいつ絶対なんか知ってる。)
「ちょっとー、シリウスー?」
そういってあたしは彼の顔を覗き込む。眉間に皺がよっていても、綺麗なお顔だ。
「っ!」
呑気にそんなことを考えながらじっと見つめていると、やっと目があった。びっくりしている様子。
それがちょっと面白くて、漸くあたしに気付いた彼に詰め寄る。
「お、お前、近すぎ!」
シリウスは明らかに頬を朱に染め、顔をぐんと遠ざけた。
「あはは、シリウスお顔がまっかっかだわ!」
「う、うるせー!」
(ねぇ、なにをそんなに悩んでたの?)((お前が知らない男にホグズミートに誘われてたの見て嫉妬してました、なんて言えねえ!…言えねえ!))
2010/06/02
ご無沙汰してましたすみません、
ああなんと纏まりの無い…