「それじゃ僕たちはお先に。用が済んだら三本の箒に行くつもりだから、気が向いたらおいで。」
そう私に告げると、リーマスはシリウスになにやら耳打ちをする。彼の表情は、何か企みごとをする時のそれだ。あら、シリウスちょっと怒ってる。
「じゃ、楽しんで」
リーマスはにやりと笑うと、ピーターを連れタペストリーの裏に姿を消してしまった。
「リーマス何て?」
「、何でもねーよ」
「そーお?眉間にしわよってるわよ。」
不貞腐れた様子のシリウスが可笑しくて、私はくすくすと笑う。ああほんとうに、このひとはからかい甲斐があると言うか、見た目と裏腹で、可愛い人だ。
「ほら行くぞ」
未だくすくす笑いの止まらない私は、照れたように頭を掻きながら歩き出した彼を追いかけた。
「リリーたち、楽しんでるかしらね。」
大半の買い物を済ました私達は、リーマスたちと合流するためパブへと向かうことに。
「お前、あれだぜ、昨日ジェームズ酷かったんだからな。あいつ興奮しすぎて寝れねえとか言って、結局奴が寝るまで延々と付き合わされたわ。ったくこっちの身にもなってみろっつーの。」
「相当喜んでたものね、ジェームズ。」
今朝なんか通常の三倍のテンションで叩き起こされて心底うざったかった、そう言う彼も、心なしか嬉しそうだ。
リリーだって、楽しんでいないわけがないのだ。ああ見えて、近頃リリーはジェームズのことをすごく気にかけていて(勿論昔から気に留めては居たけれど、最近は、とてもとても、良い意味で。)今日のことだっていつもよりずっとはやくに目が覚めてしまうくらい楽しみにしていた。
「っつーかあれだ、その」
「、ん?」
「あー、もうちょっとどっか回るぞ、二人で。」
「え、あれ、リーマス達と合流するんじゃなかったの?」
「いいんだよお前は今日俺とデートだろ」
「え!」
思わぬことばに惚けていると、彼は私の右の手を取りすたすたと歩き始める。え、あれ、嘘、なに、これって何だか本当に!
「ちょっと、え、どうしたのよシリウス!」
繋がれた手に、赤く染まった彼の両耳。
これは、きっと寒さのせいだけじゃ無い。
「、、シリウス照れてるでしょう」
「だーっもううっせーな、照れて悪いかよ!」
(本当はユカが僕と行こうとしてたのを譲ってやったんだから、手ぐらい繋いで意識させて来なよ、パッドフッド)(てめ、んなっ)(次は無いよ、じゃ)