「はぁ、ここにいたのかひなゆ」 「あ、バアルモン」 「外に出るなら、俺やエンジェモン様に一言言ってからにしろといっているだろう」
せめて上着でも着ていけ、風邪引くぞ。そういってバアルモンは毛布をひなゆに被せた。そのため視界が暗くなってしまったひなゆは、毛布をまさぐって外に顔を出す。そしてそのまま、腕をピンと掲げて上空へと指を差した。
「…空、か?」 「うん。人間界では、今日は“タナバタ”っていう日なんだって。エンジェモン様が教えてくれたの」 「七夕…確か天の川の両側にある牽牛座と織女座が年に一度会うと謂われる日か」 「? けんぎゅ…、しょく?」 「彦星と織姫のことだ」 「そっかぁ…」
そういって再びひなゆの目は空へと向かう。しかし、その先には生憎の曇天。天の川どころか星さえも厚い雲に覆われ、まちまちに見える程度だ。
「織姫様と彦星様、会えたかな…」
ぽつりと呟いたひなゆの横顔は何処か哀しげで、バアルモンは思わず「どうかしたのか?」と尋ねた。
「一年に一回しか会えないのに、会えてなかったら可哀想だなって…」 「……」 「…それに、」
もしも私が元の世界に戻る事になったとしたら、年に一回どころか一生バアルモン達に会えなくなっちゃうのかな?って思ったら、
「…なんか、胸が苦しくなって…」
そこで言葉が消え、ひなゆはおもむろに毛布を被りその場にうずくまった。
「…正直、俺達デジモンには人間の考えることなど分からない」 「……」 「だがひなゆに一生会えなくなるというのは…、俺も嫌だ」
そういってバアルモンはゆっくりと瞳を閉じた。
ガラクシアス
(――彦星と織姫のように、)
(二人が離ればなれとなる日が永久(とこしえ)に来ないよう、)
(二人はただ、夜空に祈った)
***
七夕ということで滑り込み(笑) ちょっとシリアスなお話でした\(^O^)/
ネタなしのぶっつけ本番で書いたので、いつも以上に文章がまとまってないというね!文才が欲しいぞコノヤローw←
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