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苦笑い。

ドアを開けて真っ先に飛び込んできたのは、嵐のように騒がしい彼であった。

「っうお!ひより!
お前一体今までどこにいたんだよ!」

探してたんだぞ、と大声で叫んだ遊にぎゅうときつく抱き着かれて、ひよりは苦笑いを溢す他なかった。

ああ、オムライス美味しかったぁ。
俺これなら毎日食べれるかも。

まるで現実逃避でもするように、ひよりはテーブルの上に置きっぱなしになってしまっていた空き皿を見つめる。
ほう、と溜め息。

「ひより!聞いてんのか!?」

溜め息が耳に届いてしまったのか、再び大声を出しながら遊がひよりを揺さぶる。
揺さぶられたひよりはそのまま呆れた顔をしてみせた。

てゆうか、

「遊ちゃん、っ痛い!」

ぎゅううと握り締められた二の腕。
今までにないくらいの力がこめられているようで、ひよりは思わず身をよじった。

いつもは反応するのも億劫だから、されるがままなんだけど、さすがに。

「…っよりが、悪いんだろ…!」

「え?」

よく、聞こえない。
力も緩めないまま遊がぼそりと珍しく小さく呟いて、ひよりは腕に掛かる圧力に顔をしかめながらも遊の表情を覗き見た。
それで俯いた遊と目が合った瞬間、ぱっと。

「ああっ、ごめん!!」

思ったよりもあっさりと遊は手を離した。

「…?」

しゅんと大人しくなった遊の様子に、ひよりが首を傾げる。

というか、この面子。
先程まで食事をしていたひよりと誠、それからついさっき食堂に入ってきた遊に、大河と杏里。

あらら、これちょっと、いやーなパターンだったりしない?

「えーと、そろそろ授業にでも行こうかなぁ、なーんて。」

集まる視線が、ぴりりと痛い。

あっ、やっぱだめかぁー…、うん。

その鋭い視線にひよりは逃げ出すことを諦めて他の人のアクションを待った。
誰も少し遅れたランチを注文する様子はない。
だとしたらやっぱり、

「俺になんか用でもあったぁ?」

妙に重苦しい空気の中、意を決して口を開く。

「…あっ、うん、生徒会推薦用紙が欲しくて。」

どうやら呆けていたらしい杏里がそう伝えると、合わせて遊がうんうんと頷く。
誠が不安そうに目を泳がせていたが、ひよりは案外明るい声を返した。

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