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結論をいえば仕事量は4分の3になっただけなのだが、ひよりにとっては精神的に平和な生活を送る一方で、生徒会室の彼らは。

「俺やっぱひよりに謝ってくる!」

ソファに座る遊が今にも勢いよく立ち上がりそうな雰囲気でそんな決断をしたところだった。
腰をあげてドアへ近付く遊。
彼の進行方向に立つ杏里は一瞬だけ眉を顰めてそれから遊へ笑いかけた。

「謝ってくる、っていうけど会えないんでしょ?」

それに遊が謝る必要もない。

杏里は自嘲気味に笑いを零した。
そう、会えないのだ。
既にひよりが生徒会室に来なくなってから2週間が過ぎている。
ついでに言ってしまえば、大河や杏里がため込んでいた書類も姿を消していて、新しい仕事が来ることも無くなった。

「う〜!
あっ、じゃあ部屋はどうなんだよ!
夜になってからだったら絶対いるだろ!?」

唸った遊はやはりそわそわと落ち着かないようで、杏里に立ち塞がれたドアからなんとか出ようと試みる。
今、部屋にいるのは大河と杏里と遊。
誠は先ほどまでデスクで仕事をしつつ、それなりに会話もしていたが、どうやら授業を受けにいったようだ。

「んー、確かに部屋にはいるはずだよね、きっと。」

「だろ?」

ひよりが生徒会室に来ないなんて、今までは大したこともなかったのに、なんとなく彼を探してしまう。

実は、ここに来ないなら教室にいるんじゃないかと何回か行ったりしたんだけど。
机に荷物はあるからいるみたいなんだけど、タイミング悪く会えないんだよね。

いつの間にかひよりのことを考えている自分に少し首を傾げながら、ひっそりと今夜にでも部屋に行ってみようかと杏里が思った矢先。

「ひよは帰ってきてねぇよ。」

口を開いたのはすっかり片付いたデスクに伏せていた大河だった。

「どういうこと?」

「どーもこーもねぇよ。
隣の部屋から物音ひとつしねぇってことだ。」

うたた寝から目覚めた大河は漸く立ち上がる。
そのまま通りすがりにひよりの机を盗み見た。
自分の机と同じように綺麗に片付いた机には、まだ使われなくなって2週間だというのにうっすらと埃が積もっている。

「なあ、ここってこんな暇な場所だっけか?」

確か今朝の天気予報で、そろそろ梅雨前線がどうとか言っていた気がする。
空は未だ晴れ空。

ひよりの机に乗った埃を払いながら、大河は呟いた。

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