「今日は七夕だよー!」
「七夕ですね」
「天の川見たいっス! 天の川!」
「天の川って都会の空でも見えるの?」
「どうでしょうね」
「星見て何が楽しいんだよ」
「青峰くんって本当に情緒が無いよねぇ」
「うっせぇよさつき」
「星ってちょっと美味しそうだよね〜」
「ああ、金平糖みたいですよね」
「ね〜」
「ねぇ、七夕だよ真ちゃん!」
「……七夕が、どうかしたのか?」
「今日は部活が終わったら、七夕をやるんだよ」

勿論、来るだろう?と尋ねてくる赤司には頷く外ない。隣で騒ぐ橙木と黄瀬が煩わしいが、いずれ黙るだろう。その日の部活はいつも通りに進んだが、全員がどこか浮き足が立っている様子で、しかしそれでも赤司がペナルティを与えることはなかった。

「曇りって……空気読めよ七夕ぁぁぁ……!」
「そもそも七夕の日に晴れることは滅多にありませんからねぇ」
「まぁでも笹は持ってきたからね。七夕はやろうか」
「笹持ってきたのかよ!?」
「どっからっスか!?」
「ああ、私の家から一本拝借しました」
「白神は何者なのだよ!?」
「内緒です」
「白ちんすごぉーい」
「休憩の時に七夕飾りも作ったよ!」
「短冊も作ったよ! 書こう書こう!」
「立ち直り早いね梨乃ちゃん」
「彼女の唯一の取り柄ですからね」
「唯一!? 唯一って酷くない!?」
「すいません。一応顔もでしたね」
「テッちゃん毒舌ぅぅうう!」
「そんなところもカッコイイ!」
「わたし、さつきちゃんがよく分からないよ……」
「安心しろ、俺もだ」
「えぇ!?」
「あの、そろそろ短冊を書きませんか?」
「あ、書く書く! あたしペン持ってきた!」
「梨乃も偶には役に立つね」
「こっちも毒舌ぅぅうう!」
「ほ、ほら梨乃っち短冊書こうっス!」
「うん……ありがと涼ちゃん……書けた!」
「早すぎるのだよ!」
「ボクも書けました」
「わたしも書き終わったよ」
「でーきたっ!」
「これでいーんだろ?」
「オレも書けたっス!」
「おわったし」
「私も出来ました」
「僕も終わったし、それじゃあ吊るそうか」
「お前達早すぎるのだよ! 一体何を書いて……!?」

立ちあがって、笹に括り付けられた短冊を見る。その文字の羅列にハッとして、そしてその場にいた全員がしてやったりという表情でこちらを見ていた。

『誕』『生』『日』『お』『め』『で』『と』『う』『!』

「真ちゃん驚かせようと思ったの! どう!?」
「べっ……別にどうもしないのだよ!」
「えー、嘘だぁ!」
「ミドリンってばツンデレなんだからー!」
「違うと言っているだろう!」
「ねー、もうケーキ食べていーい?」
「今から切り分けるので少し待ってて下さいね」
「紙皿持ってくるっス!」
「ダッシュね」
「えぇ!? は、はいっス!」
「黄瀬ぇーフォークも取ってこーい」
「青峰っちが行けばいいじゃないスか!」
「ついでだろついで」
「それで緑間くん、七夕はどうですか?」
「っ……悪くはないのだよ」
「真ちゃんがデレたぞー!」
「うるさいのだよ橙木!」
「あ、ちょっと晴れてきたね」
「まだ星は見えませんけどね」
「でも、晴れた方がやっぱりいいよ。ね、緑間くん」
「……そうだな」

結局、天の川は見れないままその日は解散となった。けれど、やはり悪くはない日であった。


 



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