「涼太くん、お疲れ様です」
「白神っち。お疲れっスー」
「本日は誕生日でしたよね。おめでとうございます」
「え! 覚えててくれたんスか!?」
「勿論です。お祝いにレモンのシフォンケーキを焼いたのでよろしければ」
「うわ、美味そー! いいんスか!?」
「涼太くんへのプレゼントですから」
「嬉しいっス!」
「あー黄瀬ちんが美味しそうなのもってるー」
「ダメっスよ紫っち! これは白神っちがくれたんスから!」
「えー」
「え、あの、黄瀬くん今日誕生日なの……?」
「そっス。あ、ちょっ紫っち!」
「うまー。あれ、黄瀬ちん誕生日だっけ? じゃあコレあげるー」
「食べかけ! 食べかけのマーブルチョコ!?」
「おいしーよー」
「そりゃそうっスけど……ありがとーっス」
「ごめんなさい、わたし知らなくて……今日お昼奢る!」
「えっ! いっスよー藍畑っち最近入部したばっかりだし」
「いや、数日前からクラスの子がやたらそわそわしてるのは分かってたし……」
「ああ、黄瀬君の誕生日のせいでしたか」
「せいって! 黒子っちヒド!」
「飲み物くらいは奢りますよ」
「内容は藍畑っちと変わらないのにこの差!」
「きーちゃん! はっぴーばーすでー!」
「桃っちありがとーっス!」
「あ? お前今日誕生日だったか?」
「青峰っちが忘れてることは想像ついてたっスよ」
「ごめんね、きーちゃん。私が言っておけば……」
「桃っちが気にすることないっス!」
「あ、きーちゃんコレ! きーちゃんここのスポーツタオル気に入ってたでしょ!」
「覚えててくれたんスか!? 嬉しいっス!」
「あ、あとコレも作ったの! よかったら食べてね!」
「……コレ何スか?」
「クッキーだよ?」
「……相変わらずさつきの料理はヒデーな」
「黄瀬、今日のお前のラッキーアイテムの意味が分かったのだよ」
「へ?」
「今日の双子座のラッキーアイテムは胃薬なのだよ。やるからとっておくといい」
「……おは朝の占いって本当によく当たるんスね」
「当然なのだよ」
「おら黄瀬、これやるよ」
「これ朝練前に青峰っちが読んでたやつじゃないっスか!」
「だから何だよ」
「どうせなら1on1とかしてほしーっス!」
「お、いいぜやるか?」
「今日の朝練以降部活動は停止だよ。2人ともまた赤点をとったらどうするつもりだい?」
「……青峰っち、やっぱコレ貰っとくっス」
「おー……1on1はまたテスト後な」
「涼太、誕生日おめでとう」
「え、あ、ありがとーっス!」
「これからも一層バスケに励んでくれ」
「バッシュですね。さすが征ちゃんです」
「赤司っちマジカッケーっスね……!」
「あとは、あの子だけだね」
「そうですね。朝から姿は見てませんが」
「……へ」
「やはり、一番祝って頂きたい方に貰うものが一番でしょう。ね、涼太くん」

見透かされている。ぐ、と言葉に詰まる。抱えたものは1つ足りない。そのたった1つが不足するだけで窒息しそうだ。ただ、一言、欲しいのは彼女の言葉。


 



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