「……まさか、征ちゃんとこんな風に対峙するなんて思ってもみませんでした」
「奇遇だね。僕もだよゆず」
「もう、避けられないんですね」
「ああ、僕たちは戦う他ない」
「……では、いきますよ」
「どこからでも」


「ドッジボールってこんな雰囲気になる?」
「普通はなりませんね」
「白神っちファイトっスー!」
「赤司ィィイイイ!!」
「きーちゃんと青峰君必死だね」
「当前っスよ! ダサT着てメニュー3倍とか死んじゃうっス!」
「コスプレからのマネージャー業も辛いけど。精神的に」

びゅんびゅんともの凄い勢いで飛び交うボールを外野から皆で眺めながらのドッジボール観戦なう。ドッジボールっていうよりむしろキャッチボール。赤司くんと白神ちゃんすごいなー。あたしも運動神経良いけど、あんな豪速球を真正面からキャッチ出来る自信ないよ。

「ですが、先日の藍畑さんの格好似合ってましたよ」
「メイド服似合ってもあんまり嬉しくない……」
「今日は獣耳だっけ? のんちゃんは猫さんかな!」
「何でわたしがつける方向なの?」
「のんちゃん連日負けてるもんねー!」
「人事を尽くさないからなのだよ」
「そんな馬鹿な……わたし、今日ラッキーアイテムなんだっけか」
「藍畑の今日のラッキーアイテムは果汁100%ジュースなのだよ」
「お昼それ飲めばよかった。ニアミスでなっちゃん飲んじゃった」
「なっちゃんおいしーよねー」
「ねー! あ、今からミニッツメイド買ってこればいーじゃん!」
「おっそうしようぜ藍畑! お前がミニッツメイド飲んだら赤司勝つだろ!」
「まじか」
「ミニッツメイドで操作される赤司くんの勝利」
「ダメっスよ藍畑っち! 潔く負けを認めるっス!」
「まだ負けてないよ。ていうか顔面に3回もボールくらった黄瀬くんに言われたくない」
「アレは赤司っちが狙ってくるんスよー!」
「笑顔で『顔面ってセーフだよね?』って聞いてきたしな」
「モデルの顔狙う赤司くんマジ鬼畜」
「買ってくるんでしたら急がないと。あと2分でチャイム鳴りますよ」
「え、間に合わない」
「のんちゃん足遅いもんね」
「畑ちんコレ食べるー?」
「うわぁ……果汁100%グミ。気休めだね、ありがとう頂きます」
「あっくんあたしも! あたしも食べたい!」
「えー」
「扱いの差!」
「明日も晴れますかね」
「くもりじゃなかった?」
「明日もドッジボールかぁ……そろそろ飽きない?」
「じゃあ中あてするっスか?」
「赤司と白神のボールから生き残った奴が勝利か」
「どう足掻いても絶望」
「全くなのだよ」
「全員罰ゲーム決定だし」

―キーンコーンカーンコーン―

「あ」
「え、決着は?」
「残念ながらつきませんでした」
「あの攻防が2分間も」
「え、じゃあ罰ゲームは……」
「ん? 僕とゆず以外全員だよ」
「……え?」
「え? じゃないよ。僕たち以外全員アウトだったろう?」
「そうだけど……えええええ」
「口答えする子は嫌いだよ」
「いひゃいいひゃいいひゃい!」
「橙木の頬はよくのびるね」
「赤司っち止めてあげて……痛いっス! 耳! 耳!」
「今日の部活も楽しみだね」

赤司くんと白神ちゃんだけがね!あといい加減ほっぺ痛いです!あたしモデル!まぁ、そんなこと言えないんですけどね!あー今日の部活憂鬱すぎる。ひっぱられた頬はじんじんと痛んで赤くなっていた。赤司くんの馬鹿。本人に向かっては言えないけどね。あたし死んじゃう。とりあえず、明日は雨が降ってほしいです。


 



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