「んー、友達の友達から聞いた話なんだけど―……」


その子の通ってる学校のトイレに幽霊が出るって噂があったんだって。その子の友達が美術部で、夜遅くまで残って部活をやってたんだけど、水を流しに行くときに、誰もいないのに奥に誰かがいる気配がするって。その話を聞いた子と、その子の友達2人で肝試しをしようって学校に残ってトイレに行ってみることにしたんだって。そのトイレ、特にどこの場所で出るっていう規定はなかったみたい。美術部の子が行ったのは3階のトイレだったし、クラスメイトが言うには1階で、また違う友達が言うには4階だったり。だから、上から一か所ずつ回ってみることになった。その校舎は4階建てで、二つに分かれてる。トイレは各階に2つずつあって、片方の校舎には物置で地下1階まであって、そこにもトイレが1つ。結構多いけど、校舎自体はそう広くもないから、結構さくさく進んでいった。何にも出ないね、なんて軽口を叩きながら、手元の携帯の明かりだけを頼りに進んでいった。4階、3階、2階、1階、校舎が変わって、また4階、3階、2階、1階。とうとう残ったのは地下1階にあるトイレだけ。もう何にも出ないんじゃないのか、噂なんて嘘だったんだ、なんて3人は内心思いながらそのトイレに向かった。地下って言うくらいだからもう本当に暗くて、窓からの月明かりさえも無いもんだから、本当に手元の携帯しか明かりが無かった。ゆっくり足を踏み入れると、不自然に、一番奥のトイレだけ、扉が閉まってたんだ。3人はヒヤッとしたって。それでも、ゆっくり進んでいって、ドアに手を掛けた。あとは押すだけ、なんて思った時だった。「わっ!」急に聞こえた声にビックリして3人が叫ぶ。振り返ってみると、見回りをしている用務員の先生だった。先生はケラケラ笑って、こんな時間まで何をしているんだ、早く帰りなさいって言った。3人はほっとして、もうこれ以上怖い思いもしたくないし、って帰ることにした。用務員の先生に送ってもらってね。でも、帰り道、1人の子が急に立ち止まった。どうしたのって聞くと、その子、顔が真っ青だったんだ。「ねぇ、わって言ったの、誰?」1人の子が、あの用務員の人でしょ、って言った。3人は誰も言ってないんだから、当たり前だって。でも、よくよく思い返してみると、あの声、女の子の声だったんだ。用務員の先生、もう定年退職間近のおじさんなんだから、あんな声、出るはずない。でも、3人のうちの誰の声でもない。じゃあ、あの声は、


「あの声は、結局誰の声だったんだろうね―……?」


 



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