「えーっと、友達の友達から聞いた話なんだけど―……」


その子の通ってる学校、結構古くからあって、校舎とかも勿論ボロボロだったんだって。で、廊下の突き当たりの壁にシミがあって、生徒の間ではそれが人の顔に見えるってことでちょっと怪談みたいになってたの。一部の子は、それがこの学校の神様だ、なんて言ってたりしてね。その神様、なんとビックリすることに日によって表情が違うように見えてたから、もう本当に怪談だったみたいなんだけど。それで、ある日、男女5人組が、こっくりさん、をすることにしたのね。誰もいない教室で、窓際の席でこっくりさん。冗談半分で、きたらいいねーなんて言ってたら、本当に10円玉が動いたの。こっくりさん、こっくりさん、いらっしゃいましたら『はい』の方へお進みください、なんて言ったら本当に『はい』の方に進んだ。もうそれでテンションが上がっちゃったのか、Aちゃんの好きな子は誰ですかーとか、まぁありきたりな質問をしてたわけよ。そこで、1人の子が、冗談でメンバーの1人の子の名前を挙げて、この子が死ぬのはいつですか、なんて聞いた。何言ってんの、なんて笑いながら10円玉の進む先を見てた。指が伝っていく先は『き』『ょ』『う』。え、と全員が固まった。震える声で、また1人が、死因は何ですか、なんて聞いた。『す』『い』『し』、その瞬間、雨が降り出した。雷も鳴った。流石にヤバイ、と思って、全員でお帰り下さいって一生懸命言った。でも10円玉は『いいえ』から動かない。焦って焦って、とうとう10円玉から指を離してしまった。途中で指を、離してしまった。ヤバイ、と思っても、もう全員がそれどころじゃなかったんだろうね、片付けもしないで全員鞄を引っ掴んで帰っちゃったの。土砂降りの雨の中、走って、走って。もうこっくりさんに言われたことも忘れて、走っていったの。そしたら、1人が足を滑らせて、川に落ちた。勿論、名前を挙げられた子だった。まぁ、全員で手を伸ばして、結局その子はなんとか助かったんだけど、もう少しで本当に死んじゃうところだった。川の水量があとちょっとでも増えてたら危なかったんだって。雨が降って、早いうちに飛び出してきて正解だった。まぁ、こっくりさんなんてしたことが間違いなんだけどね。それから暫くして、あの溺れかけた女の子が、他の4人に言ったの。震える声で、「神様、あの日、笑ってた」って。


「神様は助けてくれたのかな、それとも、殺そうとしてたのかな―……?」


 



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