「友達の友達から聞いた話なんですけど―……」


いつも通り帰宅をしていたら、どうもいつも使っている道が工事の関係で通れなくなっていたそうなんです。仕方ないと迂回して、一本奥の道に入っていきました。そこは住宅街なんですが、どちらかというと寂れているそうで、余りにも気味が悪かったのでその人は早足で家に帰ることにしました。しばらく歩いていくと四辻に出て、そこを1人のお婆さんが通っていきました。人がいることに安心して、先程よりも歩くスピードを緩めて、その人はその四辻を真っ直ぐ通っていきました。暫く歩くと、また四辻に出ました。その人はこの道を使うのが初めてだったそうですから、大した疑問も持たずに、また真っ直ぐ四辻を通っていきました。その後ろを誰かが通っていった気がしたので振り返ってみると、先程のお婆さんでした。同じ場所に行くのかな、と思ったその方は、これまた大した疑問も持たずに四辻を進んでいきました。そして、また四辻に辿り着きました。四辻には、またお婆さんの姿がありました。そこで、ふっとその場の地図を思い出しました。ずっと四辻が続くなんて有り得ないんです。何故なら、途中には小学校があるんですから。でも、どこまで歩いても、どんなに目を凝らして先を見ても、小学校は見当たりません。流石にこれは可笑しいんじゃないか、と思った瞬間、お婆さんがギロリとこちらを見たそうです。酷く充血した赤い目で、恐ろしい形相をしていました。その人は咄嗟に逃げだしました。元来た道を、目も開けずひたすらに走りました。どれだけ走ったのかは分かりませんが、ふっと車が通る音がしました。人の声もしました。そこで漸く目を開けると、いつもの道に戻っていたそうです。ほっと胸を撫で下ろして、その人は家に帰りました。その人にはお兄さんがいるそうなんですが、お兄さんにこのことを話したところ、どうやら四辻で四回、そのお婆さんに出くわしてしまうと、あの世に連れていかれるそうです。その辺りでは有名な話だそうで、その人はゾッとしました。あと一度、四辻でお婆さんに出くわしていたらと思うと、怖くてたまりませんでした。その後、もう二度とその道を通ることはなかったそうです。


「ところで、最近その人に連絡が取れないそうなんですけど、一体どうしたんでしょうね―……?」


 



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