そして、今日も1日が始まる。

ホースからシャワー状に出てくる水を花に浴びせる。地面の色が変わったところであたしは水を止めてホースを片付けた。花びらに残った水滴が宝石のようにきらきら光ってとても綺麗。それだけでなんとなく嬉しくなって自然と顔がほころんだ。目に付いた雑草を抜いて花壇を整えて立ち上がる。まだ梅雨が続く中、久々に見た青空は雲ひとつなく、とても綺麗だった。梅雨とはいえ季節は夏なんだよね。少し不思議な気分。眩しい日差しに目を細めてもう一度空を仰いだ。

「まなおはよ」
「あ、りっちゃんおはよ!」

聞きなれた声に振り返ればそこには大好きな友人の姿。りっちゃんこと片平理奈ちゃんはしっかりしててお姉さんみたいな子だ。小学校から中学校までずーっとクラスが一緒。いわゆる腐れ縁的なやつで割と長い付き合いなのだ。今日も花壇の世話?と首をかしげて尋ねるりっちゃんに笑顔で頷くと、相変わらずねとりっちゃんも笑った。

「りっちゃんは朝練?」
「朝練っていうか自主練だけどね。大会近いし」
「そっかぁ! また応援いくね!」
「ありがと。ほら、教室いこ?」

りっちゃんがそう言ったので携帯を見るとHRが始まる5分前だった。もうそんなに経ってたんだなぁと思いながらりっちゃんの隣に並ぶ。背の高いりっちゃんの隣に並ぶと自分がすごく小さいみたいだ。いや、実際背は低いんだけどね。どこにいったのマイ成長期!

「そういえば、転校生が来るのって今日だよね」
「あっ! そうだね! どんな子かな?」
「さぁ……友達になれるといいね」
「うん! お花好きかなー?」

あたしがそう言うとりっちゃんは呆れたように笑った。しょうがないじゃんか、好きなんだもの。そうこうしているうちに教室に着き席に座った。りっちゃんはあたしの前の席で自然と会話は続行する。一時間目なんだっけ。英語でしょ。うそ!ほんと。英語の教科書を出しながら、まな今日ここの訳あたるよと教えてくれたりっちゃんに感謝。りっちゃんに訳を見せてもらいながら必死にノートに書き写す。どすん、と隣から物音が聞こえた。顔を上げるとそこには見知った顔が。まぁ、クラスメイトだから当然なんだけどね。

「切原くんおはよ!」
「おはよ、切原くん」
「はよ。げ、今日一時間目英語!?」
「そうなんだよ! あたしここ当たるから切原くんその次のやつだねっ」
「マジかよ! 片平俺にも写させて!」
「間違っててもいいならいいけど。貸しひとつ、ね」

にこりと綺麗に笑ってりっちゃんは持っていたノートを机に広げた。ちなみに、あたしと切原くんの席はお隣さんだ。英文を見て嫌そうに眉間に皺を寄せながら訳を書き写す切原くんを見てあたしも急いで文字を書く。ざわざわと騒がしい教室。今日からやって来る新しい仲間に期待を膨らませながらシャーペンを動かす。急いだせいか少し乱れた文字の羅列はちょっと読みにくい。読めないわけじゃないんだけどね。ふぅ、と息を吐くとちょうど切原くんも写し終えたみたいだった。文字はあたしよりさらに汚い。読めるの、それ。りっちゃんにお礼を言ってノートを返す。ノートがりっちゃんの手に渡ったその瞬間にチャイムが鳴り響く。ガラリと開く扉。まず入ってきたのは担任の先生、そしてその後ろには小柄な黒髪の女の子。さわがしさを増す教室。きらきらと照りつける太陽。いつもと変わらない、ううん、それは何もかもが新しい。

そして、今日も1日が始まる。



ブルーブルーブルー
(青空が告げたのは、夏と始まり)




 



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