「とりあえず、桜と祐美は球拾いだよね!」
「そんな勝手に……」
「ウチは別にいいけど。桜なんでそんな落ち込んでるの」
「いやなんかもう……うん、いいや。あきらめる。球拾いがんばろ」
「じゃああたしと夏華ちゃんと理紗子ちゃんで他のことやろっかー」
「う、うんっ。わたしにできるかなぁ……」
「理紗子なら大丈夫だよ! うちが保証する!」

月曜日。男子テニス部に入部してはじめての日。ゆかりちゃんにがんばってねと言われ送り出されたあたしは現在男子テニス部の部室にいる。金曜日に跡部くんに言われた通り教室で待っていると背の高い男の子(2年生の樺地崇弘くんというらしい)が迎えに来てくれた。案内された部室――現在いる場所は、男子テニス部のレギュラー専用の部室らしい。10人足らずの人数でこんな広い部室を使えるのかと5人でビックリする。そこで自己紹介をしてもらい、こちらも自己紹介をする。どうやらこの部活、部員がざっと200人ほどいるらしい。みんなどんだけテニス好きなの。部員全員の名前を覚えるのは無理なのでレギュラーと準レギュラーの名前はしっかり覚えようと思う。平部員の皆さまごめんなさい。言い渡された仕事は5つ。ドリンク作り、洗濯、タオル配り、球拾い、スコア。スコアは練習試合の時にだけやればいいとのことで今日のところはやらなくていいらしい。じゃあ今日の担当を決めようか、ということで冒頭に戻る。長い回想終了。

「球拾い行ってくる。桜、行こ」
「あ、うんっ。じゃあまたあとでね」

2人は部室を出て行った。球拾い大変そうだなぁとは思うけど生憎あたしの体力は無いに等しいので球拾いには向いてない。ごめんね、と心の中で謝っておく。残された仕事をやろうということで、とりあえず洗濯機を回すことにした。その間に色々やっちゃえばいいしね。部室の外に備え付けられた洗濯機に汚れたタオルやらユニフォームやらを入れて洗剤を量って入れボタンを押す。便利な世の中になったものだ。

(どっちかといえば、あたしが便利な場所に来たって感じだけど)

「ありすー! ドリンク作ろドリンク!」
「あ、うんわかったー。理紗子ちゃん、行こー」
「う、うんっ」

夏華ちゃんの後を追って部室へと向かう。目に映る青空は、今日もあたしたちを見下しているように思えた。



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