(仲良くなれるかは分からないけれど)
(それでも話してみるのってきっと何よりも大切なこと)

「部活?」

皆が一番集まりやすい、ということでC組でお弁当を食べることになった。わたしのクラスの子は転校生が全員このクラスに集まったことが気になっているのかちらちらとこちらに視線を向けている。そういうの、結構気になっちゃうから、話しかけてくれた方が気楽なのに……。その視線を同じように気にしているのは桜ちゃんだけでほかの3人はぜんぜん気にしてないみたいだ。すごいなぁ。

「うん、なんか、この学校って部活強制なんだって」
「えーめんど! うち、帰宅部する気まんまんだったんだよー!?」

卵焼きをほおばりながら夏華ちゃんが抗議する。それを仕方ないでしょと制止したのはありすちゃんで、夏華ちゃんは頬を膨らませていた。やっぱり夏華ちゃんは可愛いなぁと思いながら、ウィンナーにフォークをさす。

「でも、家のことやらなきゃいけないから忙しい部活は無理だよね」
「そうだねー。なんかいー感じに幽霊部員できる部活ないかなー」

ありすちゃんが真剣にそんなことを言うから、わたしはつい笑ってしまう。そういえば、と話を切り出したのは祐美ちゃんだった。

「なんか、ウチのクラスの子が言ってたんだけどさ」
「え、なになにー!?」
「なんか、氷帝に通ってるからには一度は男テニのマネージャーやるべき! ……って言われた」
「え、なんで?」

祐美ちゃんの発言に桜ちゃんはきょとんとしている。ウチにもよくわからないけど、と祐美ちゃんは興味がなさそうにごはんを口に運ぶ。でもなんでマネージャーなんだろう?わたしが考えていることは皆も同じようで、互いに顔を見合わせては苦笑する。

「とりあえず、クラスで話聞いてきた方がいいよね」
「桜にさんせー! うちの情報収集能力なめんな!」
「えー、情報収集だったら祐美のほうが上だと思うなー」
「なんだと!? ありすはうちのこと信用してないのか!」
「え、どうしてそうなったのー?」

ありすのばか!と言って夏華ちゃんは一気にお弁当をかきこんだ。そんな一気に食べたらのどに詰まっちゃうよ……!でもわたしの考えとは裏腹に夏華ちゃんは綺麗にお弁当を食べ終えて席を立った。

「じゃあ、情報集めてくる! 帰りにここに集合でいいよね!?」
「うん、大丈夫だと思う」
「ありがと理紗子! ありすみてろよ、うちのパワーを!」
「え、うん。じゃあ期待しないで待ってる」

ありすちゃんの返事に夏華ちゃんはばかー!と大声で叫びながら教室を出て行った。いじめすぎたかなーと笑うありすちゃんに皆苦笑い。クラスはざわざわと騒がしい。

「もうすぐチャイムなっちゃうし、あたしも教室に戻るねー。またあとで」
「あ、じゃあ私も戻る。またあとでね」
「ウチも戻るか……。それじゃあ」

3人はそろって教室を出ていく。それを手を振って見送る。あーあ、お昼休みってなんでこんなにあっという間なんだろう。はぁ、とため息をついて、くっつけていた机を戻す。よし、わたしも情報集めがんばろう。気合を入れたは良いけれど、次の授業が数学なのを知って落胆したのはここだけのおはなし。



←|






 
「#学園」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -