ありすちゃんと理紗子ちゃんが作ってくれたオムライスはすごくおいしかった。卵はふわふわとろとろでチキンライスも野菜がいっぱい入ってた。少し重たい望遠鏡を背負いながら、頭の中はさっきのオムライスが半分、これから見る流星群が半分。もう頭は楽しいことでいっぱいだ。

「意外と忍び込むのってちょろいよね」
「うん、なんか拍子抜けしちゃった……」
「祐美、理紗子、そーいうこと言わないの! ほら行くよ!」

夏華ちゃんは理紗子ちゃんの腕をぐいぐい引っ張りながら階段を上る。でも、実際に学校に忍び込むのは簡単だった。校門は簡単によじ登れたし、適当に開いてる窓から入れば校舎内には入ることができた。……うちの学校のセキュリティシステム心配だなぁ。甘いとは思っていたけどここまでとは。先生、もっとしっかり戸締りしてください。泥棒が入ってきても文句言えないよこれじゃあ。そんなことを思っているうちに屋上に到着。鍵が壊れている屋上のドアノブを回せば、そこには一面の星空があった。

「わー、すっごーい!」

一番に声をあげたのはやっぱり夏華ちゃんだった。まだ流星群はピークではないからか、ひとつふたつ流れ星がおちるだけだったけれど、それでも綺麗なことに変わりはない。

「うちの学校、丘の上にあってよかったって初めて思った!」
「いつも坂道で大変だもんね……」

もうちょっと待ったら流れ星いっぱいかな、とありすちゃんが尋ねてきた。それに笑顔でうなずくと、ありすちゃんも笑った。やっぱり、ありすちゃんは可愛いなぁ。

「……青春、やりなおしたいなぁ」

突如、夏華ちゃんが呟いた一言に皆の動きが制止する。きょとん、そんな表現が一番しっくりくる。

「だって、うちら高校生だよ? 恋してないし、部活だってあんまりできなかったし、あと半年で大学生か社会人になっちゃう」

そんなのやだな、と夏華ちゃんはしゅんとして言った。私たちは何も言えなくなって、ただただ夏華ちゃんの方を見ていた。すると、さっきまでの夏華ちゃんはいなくなって、ぱっと表情を変えた。

「ごめんごめん! なんでもないよ! ほら、もうすぐピークの時間だよ!」

にこにこ笑って話しているけど、きっとさっきのは夏華ちゃんの本当の気持ち。そして、それはきっと、私たちも心のどこかで願っていること。だから、叶ってくれればいいのに。そう考えている私の後ろでは流れ星がひとつ、空を駆けていた。









 
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