「宮永夏華です! 他の転校生たちはうちの嫁なので手だしたら殴ります! よろしくおねがいします!」

にこっと笑って挨拶をする。よろしく3年D組!と気持ちを全力でこめてみた。それなのにクラスの子たちは全員複雑そうな顔をしていた。なんでだろ?うち、そんなに変なこと言ってなくね?

「……宮永は友達思いなんだな!」
「そう! そうなんだよ先生! わかってるぅ!」

担任の風間先生はうちの肩をばんばんと叩きながら笑った。皆もそれにつられて笑ってる。うんうん、なんかこのクラスはノリがよさそうな子ばっかりだねっ!

「宮永の席は……お、長谷川の隣があいてるな! 宮永、席はあそこな」
「はーい!」

元気に返事をして、指定された席に向かう。席に座ろうとしたときに後ろの席の男の子と目があった。わー……すっごい斬新な髪形と明るい髪色だぁ。地毛かなーアレ。男の子は眉間にしわを寄せながら口を開く。

「……んだよ」
「んと……それって自前?」

髪の毛を指差して尋ねると男の子の眉間のしわは数を増した。せっかくカッコカワイイ系のモテそうな顔立ちしてるのにもったいないなぁ!

「そうだけど……なんか文句でもあんのか?」
「ううん! カッコイイなぁって思って!」

うちがそう答えると、男の子はきょとんとして、それから目を輝かせた。そしてうちの肩をつかんで先程よりも明るいトーンで話す。

「お前わかる奴だな! 皆バカにするんだぜ!?」
「マジで!? そんな奴うちが返り討ちにしてやんよ!」
「その前に俺が返り討ちにするけどな! 俺、向日岳人!」
「岳人ね! うちは夏華でいーよ!」

よろしく!と言葉が重なり、それと同時に固く握手を交わす。うん、うちやっていけそう!友達第一号も出来たし!そんなうちらを呆れた目でクラスメイトが眺めていたのなんて気づくはずもなかった。


 ***


「お、おおおお小澤理紗子ですっ! よろしきゅっ……よろしくお願いします!」
(((噛んだ……!)))

うぅ……最初から失敗したな……。3年C組の中でわたしの印象最悪なんじゃないのかな……。なんで自己紹介で噛んじゃうのわたしのばか!恥ずかしくて下げた頭を戻せない。皆の顔なんて見られないよ……!

「せんせー! 小澤さんの席はどうするんですかーっ?」

元気そうな女の子の声が教室に響く。教卓の近くから聞こえてきたことを考えると一番前の席らしい。先生はあー、と少し考え込むようにしてから、わたしの席を指示した。先程の女の子の隣の席、つまり、

(い、一番前……!? 転校早々一番前とか……ついてないなぁ)
「やった! 席お隣さんだ!」

にこにこと笑う女の子を見て、つられて笑う。なんかこの子、夏華ちゃんにちょっと似てるかも。よく笑うとことか、元気なとことか。席に着くと、女の子は早速話しかけてくれた。

「うち、笹山ひかり! 皆ひかって呼んでるからそう呼んでね!」
「う、うん……。あ、じゃあ、わたしも理紗子でいい、よ……?」
「ほんとっ? じゃあ理紗子って呼ぶね!」

よろしく理紗子!と満面の笑顔でひかちゃんは言う。わたしもよろしくねひかちゃん、と言って笑い合った。









 
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