01

それは過去に遡る。木の葉にある、ある一族は大きな幸せと大きな不安が心を染めていた。それはまだ四代目が生きていらしていた時。
その一族の娘5歳の為に生誕祭を開いた。その娘は大きな力を天性的に秘めており、5年の年月の間に他里の忍び達に知られ始めていた。


「四代目様、お手を煩わせ申し訳ない」

「…いえ、俺にはこのぐらいしか力になれません。…すみません」

「そんな、この娘には私達親元で普通の…人並みの幸せを与えてやりたかった…しかし、それは出来そうにない。…四代目様のお陰で人並みの幸せを与えれるかもしれないのです。…ありがとう、ございます」


まだまだ若いその一族の長の夫婦は四代目、波風ミナトに深々と頭を下げる。


「……栄え富むというものは恐ろしいものです。…いつかは滅びる無常なもの。まさか、私めの代でやってこようとは思ってもみませんでした。我らの“ソラ”一族が滅ぶなんて夢を視るなんて」

「……未来が変わる…なんてことはないんですか?」

「……」


夫婦は黙り辛そうに微笑む。
それが肯定を語る。


「隣の部屋に娘はいます。例の術を……」

「……分かりました」


隣の部屋には誕生日のプレゼントを抱きしめ幸せそうに眠る少女が眠っていた。


「…なまえ……生きて、幸せに…私の大切な子」

「なまえすまない、幸せに…生きてくれ…愛してる」


夫婦は少女に口づけを贈ると…四代目を見て静かにうなずく。数分後、屋敷は光に包まれ少女はこの世界から去った。少女…なまえは、四代目の時空間忍術により異世界に飛ばされ、その反動によって時空がずれ少女は赤子の姿になり異世界に辿り着いた。
……そして、今。四代目の術が弱まり再びこの世界に舞い降りた。
それが、真実。



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