01

サンサンと降り注ぐ太陽の光を背に受けながら、トボトボと住宅地を歩いている少女。この少女の名は、みょうじなまえ。
自ら孤独を選び、極力、人と関わろうとしない。その日もなまえは、一人で見慣れた家までの道のりを歩いていた。

グニャリ、


「……?」


急に視界が歪み始める。内心かなり驚きながら只、立ち尽くす。ぐにゃぐにゃと歪む視界に恐怖と不安を感じてなまえはギュッと目をつむった。暫くして、足場が安定しなまえは瞼をゆっくりと上げる。其処は、大木が周囲に生い茂り、遠くの方では、鳥や何かの生き物の鳴き声が轟く。


「…動くな」

「いやっ!」


急に首に冷たい金属が当てられたが、なまえはそんなことより自分に"誰が"触れたことに酷く怯える。


「お前……何でこんな場所にいる?里の者じゃ…ねぇな」


冷たい金属は忍びの忍具の一つであるクナイ。そのクナイを構えなまえを見つめる鹿の面を付けた者、声からして男だろう…その男は驚く。クナイを持つ男の手をなまえが勢いよく払いのけたせいでなまえの首には赤い物が流れる。


「ふ、触れないで……私に」

「?」


逃げるでもなく、痛がるでもない。この状況に…怯えもしていない。只、自分に触れないでと願う少女に鹿の面をした男は暫し間を空けてクナイをしまいこんだ。


「…着いてこい」




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