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一方的に話すナルトの話しを適当に流しつつ私はとうとうナルトの家に着いてしまったらしい。前を歩くナルトは少し寂れたアパートの階段を上がっていく。道中里を見てきたが知らない土地、知らない人、知らない文化に頭がくらくらとした。分かってはいたけれど本当に私の知らない世界なんだと改めて突き付けられた気がした。


「ここが俺ん家だってばよ!」


階段を上がり二階の一室の前でナルトは振り返り言う。
そして、玄関を開けて絶句。


「ここんとこ任務続きでちょっち散らかってるけど…」

「なんだってばね、これーーー!!!」



◇◇◇


あれから数時間終わりの見えないような掃除に漸く終わりの兆しが見えてきた。ナルトの部屋は凄まじい状態だったのだ。この世のものとは思えないような散らかりようで…。私も元来ズボラな方だけど今回は流石に無理だった。ゴミは堪り服は脱ぎ散らかし、巻物などが床に散乱していた。ゴミを纏めて、服を畳み、巻物を巻き直して積み上げて漸く床が見えたのでこの際に隅々まで拭いておいた。
キッチンにはカップラーメンの殻が山積みだったので栄養面も含めてこってり怒った。なのに、ナルトと言えば、「母ちゃんみたいだってばよ」と笑い。こっちは怒っているというのに嬉しそうにする。


「うわー綺麗になったってばよ!」

「……疲れたってばね」


人の苦労を一言で…言い返す気力もなく私は綺麗になった床に座り込む。ナルトといえば綺麗になった家を見て回っている。疲れ知らずが本気で羨ましい。
……母ちゃん呼ばわりされて怒っているはずなのに、なのに、ナルトのことは何だか放っておけない。ナルトの笑顔1つで許してしまっている私がいる。この感情は初めての感情。ミナトといてる時とは違う……そうまるで、子どもを愛しているような。子どもなんていないから分からないけど、なんとなく…
そんなわけないか、歳も変わらないナルトに。これは一時でもお世話になるという礼儀だってばね!!と、心の中で言い聞かせた。



◇◇◇


カップラーメンしかなかったナルトの家に食材がきた。自炊はほぼしないようで調味料なども買う必要がありなかなかの買い物量になった。
掃除、買い物に時間が掛かった為、今晩はさっと手軽に簡単なものを作った。簡単なものだけれど野菜が苦手だと話すナルトについつい栄養面も考えて作ってしまったのだから私もつくづくお人好しだと思う。


「これも…もぐもぐ、これも…すっげー美味いってばよ!!!」

「!…あ、当り前だってばね」


私の作った料理を美味しそうに食べるナルト。そんなナルトの髪と瞳を見てミナトと同じ色だとしみじみ見る。それによく見れば顔立ちは私に似てなくもないかもしれない。


(おかわりだってばよー)