07 支配者の時間



「さて 始めましょうか」


「何を?」とクラス全員が思っただろう。目の前には教科別のハチマキをした沢山の殺せんせー。話を聞けば、中間テストの為の高速強化テスト勉強らしい。


「何で俺はNARUTOなんだよ!!」

「寺坂君は特別コースです。苦手科目が複数ありますからねぇ」


寺坂君の叫び声が教室に響く。ハチマキが教科ではなくNARUTOだったらしい。ということは、


「私もですか…?」

「なまえさんは苦手というよりは全ての強化ですね」


公式とか基本しか覚えていない私はそれ以上の言葉が続かなかった。教室を見渡せば残像を残しながら沢山の殺せんせーが忙しそうにみんなに勉強を教えていた。


「!!!」


すると突然顔を歪ませる殺せんせー。


「急に暗殺しないで下さいカルマ君!!それを避けると残像が全部乱れるんです!!」


賑やかにも黙々と勉強に取り組んでいるみんな。すごいな、私の中学生の時なんて一夜漬けがほとんどだった気がするけど、


「さて、先ずは英語からいきましょうか…」



◇◇◇



「ふー疲れた」

「集中してたもんねなまえちゃん」

「んー、なんだかんだとね。あ、また英語教えてもらってもいい?…でも、渚君も自分の勉強あるよね」

「いいよ別に、なまえちゃんは理科を教えてくれる?」


なんて他愛のない会話をしながら参考書を殺せんせーに借りるために職員室に渚君と一緒に向かっていた。すると、


「私の給料もうちょいプラスになりませんかねぇ」


職員室から聞こえたのは殺せんせーの声。で、殺せんせーが胡麻をすっているのはこの学校の理事長様。話を聞いていれば世界を救うとか滅ぼすとか、この理事長もこの件にかなり詳しい様子。
知らないのは当事者の私たち生徒だけってことか…
学園の長としての学園の未来…
殺せんせーが殺された場合の学園の理想像を話し出した。それは、つまりE組はこのまま成績も待遇も最底辺という今の状態のことを。


「殺せんせー一秒以内に解いてくださいッ」


理事長が殺せんせーに放り投げたのは知恵の輪。
一秒後。知恵の輪と触手を見事に絡めテンパり無様な殺せんせーが…


「…噂通りスピードはすごいですね。でもね、殺せんせー この世の中には…スピードで解決出来ない問題もあるんですよ。では私はこの辺で」


職員室から退出してきた理事長が私たちに気づく


「やぁ!中間テスト期待しているよ。頑張りなさい!」


途端、無表情になる理事長。なるほど、この学園の長なだけある。