「いったぁ…」

ゴール下でボーっとしていた自分が悪いのだけれど。


部活の最中、私はシュート練習をしていた真太郎の姿を間近で見るべく、
ゴールの真下に突っ立っていた。


真太郎は危ないからどいていろ、と言っていたのだけれど、
それで引き下がる私ではありません!と意気込んでいたのがばかだった。


…まぁこの痛みの原因は、真太郎じゃなくて青峰君のせいなんだけど。


「んなとこにつったんてんじゃねーよ名前…あぶねぇな…大じょぶか?」


「だいじょぶれす…」


ボールが落ちてきたと同時に舌を噛んでしまったので、呂律が回らない。


口の中には鉄の味が広がっていて、切れてるんだと思った。


「口を見せるのだよ、血が出ている」


真太郎が、私の口を無理矢理あける。


いたいいたい痛い!!



「ひんはほー…」

「舌が切れてるのだよ、口を濯いで来い」

「はひー」


やっぱり、切れていたんだ。

水道に向かう。頭にボールが当たったせいで、少しくらくらする。


「…あれ?目の前に星が…」


チカチカチカチカ。星が見えたと思ったら、次に見えたのは体育館の天井。


輝る星がまぶしくて、つい目を閉じた。








「うー…っん」


「ようやく目が覚めたか、焦ったのだよ」


「…!?あれ、ここは!?いつの間に!」


「さっき倒れたのだよ…」


あきれ顔で言う真太郎。
眉間の皺がいつもより深い。うわぁ…


「えと…ごめんね、付き添っててもらって」


「別に…構わないのだよ、それより」


するりと頭に手を回されて、撫でまわされる。


な、何だなんだ!?


「え、な、何」


「たんこぶ…出来ているかどうか確かめているのだよ」


それにしても距離が近すぎやしませんか?


目の前に真太郎の目があって、鼻はくっつきそうなほど近くて。


どきどきどきどき。


それは私の心臓の音ではなくて、真太郎の心臓の音のようで。


「…しんたろ、」


「なんなのだよ…」


「顔、真っ赤」


へへ、と笑うと、さらに顔が真っ赤になった。


「っな!赤くなってなどないのだよ!!名前のせいなのだよ!!!!」


「私何にもしてません!!!ってか真太郎心臓の音うるさ…ひゃ」


ぐいっと頭を掴まれて、そのまま胸に押し付けられた。やっぱり、すっごく煩い。


「ねぇ、真太郎。やっぱ心臓煩いよ」


「っな!そんなのは知らないのだよ…」


「可愛いー真太郎」


ばくばくと煩い心臓の音を聞きながら、ふにやりとほほ笑むと、
真太郎はまた赤くなって、


「好き、なのだよ、名前」


「…真太郎がデレた…」


「口、塞いでやろうか?」


「は?…っん」


いつもはツンツン。

時たま見せるデレは、とてつもなく可愛い。


今だって、キスしながらも、離れたくないとでもいうかのように、手を繋いでいるんだ。





キスは優しい林檎味
(絡まる指先と、重なる唇が、熱い)











20120825



素敵サイト、またあした・様より頂きました!!
※詳しくはこちら

もうこの緑間のデレっぷり!!
俺にはとても描けん……



ぽる様!!ありがとうございました!!















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