*ヘタレな黄瀬と照れ屋な売れっ子アイドル少女のお話*















ここはとある都会のビルに設置された大型TV周辺






『さぁさぁ皆さんお待ちかね!!今日のアイドルの時間です!!
 この番組は知っての通り今ブレイク中のアイドルをスタジオに
 招いてトークする番組です!!
 そして今日のアイドルはぁぁぁぁぁ




 歌手としても活動開始!!今をときめく平成の大スター!!
 黄瀬涼太だぁぁぁぁああああああ!!!』



『ども!!黄瀬涼太っス!!今日は宜しくお願いします!!』






「「「きゃぁ〜〜〜〜!!あの大人気アイドルの黄瀬君よ!!」」」


「今度CDも発売ですって!!」


「ほんとに大人気よねぇ」






と井戸端ならぬTV端会議をしているマダムの横を通り過ぎ、
フードとサングラスをきちんとかけなおすとまた早足で歩き出した




何を隠そう、私は今、黄瀬涼太と並ぶアイドルと称される人気アイドル
名字 名前である





何故こんなお昼の時間にこんな都会のど真ん中をふらついているかというと

「大事な用がある」

と言って私を呼び出した人物が、
TVの生放送出演の仕事があった事を思い出し、
急いでTV局に向かってしまった為、
一人取り残されて暇だからだ



自宅までは電車で一時間はかかる




いくらアイドルといえど、
タクシーなどという高く無駄な出費は抑えたい




まぁ奴の出演も後30分もすれば終わるだろうし、
ここで待つ事にしたのだ











この先におこることなど露も知らずに














「「「いたぞ!!あっちだ!!追いかけろ!!」」」







何故こんなことになったのか




本来なら奴が来るまでの時間を平穏に過ごすはずだった






だが、奴が出演を終え、こちらに来てしまった





「んー、どこっスかねぇ…あ、いたいた!!名前っち!!」







などと奴が私の名前を呼び、道行く人は一斉に振り返る






勿論フードにサングラスの私は気付かれる事が無かったのだが、
あの馬鹿が変装も何もせずに出向いてきたものだから、
ついにアイドルだということがバレてしまった


















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