その結果、馬鹿に腕をひかれて逃げている状態に至る





「もう馬鹿!!ほんとに馬鹿!!!なんで変装してこなかったの!!黄瀬!!」



「だ、だって早く名前っちに会いたくてスタジオ
 飛び出て来ちゃったんスよ!!」








その言葉だけを聞けば、世の女子達は卒倒するだろう


だが今は状況が違う




飛び出してきたせいで今私は無駄な体力と精神力を削っているのだ




「こっちっス!!」



いきなり急停止して右に曲がるものだから、
腕が痛い



「…痛い」


「静かにっス!!」





「いたか?」


「いや、こっちには」


「確かにこっちに来たはずなんだが…」


「もういい!!他を探そう!!」












「…いったみたいっスね」



「もう!!あんたのせいで私は無駄な体力と精神力と時間を
 削ったのよ!?




 今日、誕生日なのに」




そう、今日は私の誕生日だ


だから家でゆっくりしていたかったのに




まずこいつが呼び出した時点で断わっておけば……




「で、誕生日くらいオフ入れてやる、っていうマネージャーさんの
 気遣いを無視して、自宅から一時間かかる都会のど真ん中に
 呼び出して挙句ファンに追っかけまわされる羽目になるほど
 大事な用件なんでしょうね?」



「も、勿論っス!!!」



「で?用件は?」



「や、あの、そのっスね……」



「何、早く言ってよ」



こっちは早く帰って家でテレビ見たいのに




「その、あの、誕生日だから、前々から言おうと思ってたんス……





 俺と、



 俺と付き合って下さいっス!!」



「は?」



「え!?即答で「は?」って何なんスか!?こっちが「は?」っスよ!!?」


「いや、何の冗談?
 もしかして誕生日サプライズ?」


「いや、サプライズって言えばサプライズ何スけど……!!!」




「いやいや、だって前に噂であんたは篠野女芽衣と交際関係にあるって…!!」


「あんなのガセに決まってるっス!!


 だ、だって俺は芸能界に入ってからずっと、名前っち一筋っスから!!」



「で、でも……」



「も、もしかして、ホントにもしかすると、

 嫉妬、してくれてたんスか…?」



「!!!や、そんなじゃない!!違う!!」


「違うんスか…」


「いや、違わないけど!!!」


「違わないんスか!!?」



「や、あの、え……!?その、私もずっと好きで、

 やっぱその、嫉妬はしてたというか、もう諦めてたというか…!!



 告白してくれるなんて、思っても無くて…!!!」




「……返事、OK、でいいんスか?」






「……う、うん、いい、オッケーで」
















しばしの沈黙




恥ずかしい
と考えていたらいきなり







「っっっっっ嬉しいっス!!!俺、名前っち大好きっス!!」



「へ!?いや、いきなり大好きなんて言われると、その、照れるっていうか…!!」



「大好き大好き、愛してるっスよ!!」



「えぇ!?」






さっきまでのヘタレはどうした


という感じで黄瀬が抱きついてきた







「あ、あと俺の事はもう黄瀬って呼ばずに涼太って呼んで欲しいっス!!」






こいつ、心読めるのか





「り、涼太?」



「そうっス!!もう、名前っちの彼氏っスからね!!」












そっか、もう、彼氏か









私と涼太は、カップルになったんだ








何だか、言い表せないあったかい気持ちが
心の底に溢れてきている気がした










らばーず
(映画みたいな展開と、愛しい彼からの告白)










20120819



宵月様!!こんなので良かったでしょうか…?
相変わらずの文才の無さとグッダグダでスイマセン!!
一体俺は何がかきたかったんだ…


とりあえずヘタレな黄瀬は可愛いと思う






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