※注意
このお話では、若干、所謂薔薇なる要素が含まれています
上記の事にご理解頂ける方のみお話にお進み下さい

















………あんなにも、恋い焦がれていたのに












「緑間くん、緑間くん!!!聞いて聞いて!!!
実は、私ね……宮地くんと付き合う事になったの!!!
緑間くんのおかげだよ!!ありがとう!!」



「そう、ですか」






俺の好いた相手、名字先輩は、秀徳バスケ部の、どこかネジの緩んだ天然、だが敏腕なマネージャーとして存在していた



試合や練習の時は凛として美しい、だが普段は気の緩んだ暖かい雰囲気を持つ女性、よく周りを見ていて、何事もそつなくこなしていく


バスケ部での日々を過ごして行くうちに、そんな彼女に、俺が恋に落ちるのは簡単だった




だが、俺の他にも彼女に好意を寄せる男がいた、それが宮地さんだ



毎日積極的に彼女に纏わりつき、近付くなと威嚇する、それをどうにかしてくれと彼女に相談された事もあった


相談事から始まる恋も、無くはない



自分の出来る限りのアドバイス、積極的なアプローチ、だが、それでも彼女が選んだのは宮地さんだった




尽くせる人事は、尽くしたのだ


それでも、天命は、運命は、俺を選ばなかった







俺は、選ばれなかった










「ほんと、緑間くんのアドバイスあっての事だからね!!ありがとう!!
やっぱり普段から人事を尽くしてるからかな、何でも出来ちゃうよね!!!」


「……人事を、尽くしても」



「へ?何か言った?」



「いえ…おめでとうございます」









あの時、ちゃんと笑えていただろうか




涙が、止まらない







「っ………ぁ、……名前っ………!!!」




自分には許されなかった、彼女の名前を呼ぶ




ガラッ、と教室の扉が開いた






「…………ちゃーっす」



「…………何をしに、来たのだよ」





この涙を、悟られないように


俺の相棒に、心配は、かけられない




いつも通り、冷静に、淡々と




「何って?たまたま通りかかっただーけ」




「………何故、ここにいる」



「んー?ちょっと休憩してるだけだよ」





「…………そうか」






「そ、俺は休憩してるだけだから、何も聞いてないし、見てないぜ?」




「………あ、ぁ」




やはり、分かってしまったか




「だから、俺なんて気にすんなよ………泣きたいなら、泣いとけよ」




「………っ、ひぅっ、っあ、う、ぐすっ」





ふいに、抱き締められた





「……あー、やっぱ我慢出来ね、………選べよ、俺を」



「………」




「選べよ、俺をっ!!!お前を選ばなかったような先輩より、こんなに、想ってる俺を!!!なぁ、緑間っ」




あいつは、泣いていた








そうか、こいつも、俺と、同じだ




運命に選ばれなかった、哀れな者






「っ、なぁ」



「………すまない」





同じなのだ、こいつと俺は






俺を抱き締めるその体からは、シトラスの香りと、ほんのりと、汗の匂いがした









Even if it renders personnel affairs
(たとえ、人事を尽くしたとしても)






20121229




はい、年納めの作品ですね


ここではうぴっていませんが、実は薔薇が大好物のノアです


途中からマネージャー先輩放置すいません←




それでは、来年もよろしくお願いします!!!














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