ねぇ紫原君、君は今、幸せですか? それはある日の午後のこと 私の大好きな彼氏、紫原君は いつもなら断っていた告白を、「Yes」で答えた 彼女という、私の存在がある前で その返事の後に、「飽きた」という残酷な言葉を、私に向けて 思えばいつも、私だけが一方的に紫原君に愛を向けていたのかもしれない 紫原君の気まぐれで、私と付き合っていたのかもしれない それでも私の愛は本物だった 初めての恋、初めての告白、初めての恋人 付き合ってから、ずっと淡い紫色に染まっていた世界 バスケの邪魔をしちゃいけないからって、我慢して 泣いて夜を過ごした日もあった 紫原君がいないくて、淋しくて、 いつも周りにいるバスケ部の人を羨んで、 そして、憎んで 自分の醜さを知って、それでもなお紫原君が好きで 紫原君は、私の世界の全てだった そして今 紫原君に突き放された私に、何が残っているのだろう? 考えるだけ、無駄 何も、残っていない ──この世界への、未練も、私の、存在理由さえも 紫原君のない、世界なんていらない 紫原君の嫌う、私なんていらない そうして乗り越えたフェンスの先に広がる青空は 私を嘲笑うくらいに綺麗で だんだんと大きくなっていくざわめき声も無視して 飛び降りた 大好きな君の声が、私を呼んだ気がした うっすらと開いた私の目に、淡い紫と、こちらに向かって伸ばされた長い腕が映る こんな都合の良い妄想なんて、あるはずがないけど 最期くらい、いいよね そして目を閉じた 瞼の裏には、大好きな君の笑顔が映る 大好きだよ、紫原君 モノクロ世界に身を投げた (ねぇ、君は今、幸せですか?) 20121009 誕生日祝い悲恋とかすいません でも甘いのもちゃんとあげます 結局むっくんが、いなくなってから大切さに気付く、的な title by 空想アリア |