HoYoverse

ガンダルヴァー村の小さな一大事

 ――コレイがこっちを見てくれない。
 何か変なことをしでかした覚えはないのだが、やけによそよそしいというか、挙動不審というか……俺が近寄るだけで飛び上がるし、話しかけてもいつも以上に取り乱して会話もままならないし、すぐに顔を真っ赤にしてどこかへ飛んで行ってしまうのだ。
 報連相はレンジャーにとって大事なことだぞ、とそれとなく注意すれば少しは大人しくなってくれるが、結局それも長くは保たない。おかげで俺は、忙しなく去っていく幼い背中を見ながら頭を抱える日々を余儀なくされている。

「先輩、無意識のうちに何かやらかしたんじゃないの?」

 これはコレイ宛の言伝をティナリに頼んだとき、彼から飛んできた痛烈な一撃だ。ため息混じりのお言葉は痛いところを正確に突き、肯定も否定もできない俺は黙り込むことしかできなかった。
 俺があまりにも消沈しているように見えたのか、ティナリは咳払いと共に俺の背中を軽く叩き、「そのうち落ちつくと思うよ」と励ましの言葉をかけてくれたが――しかし、俺の心に溜まる不安がそれで消え去ることはなかった。

(……嫌われたのか? いよいよ……もしくは何か、察されたか――)

 不明瞭な言動は這い上がるように不安を煽り、俺の口から憂鬱なため息をいくつも生み出させる。レンジャーで面倒を見ている動物たちが鼻を鳴らして近づいてくるあたり、どうやら俺の落ち込みっぷりは相当なものであるのだろう――懐っこい犬をわしわしと撫でまわしながら、俺は子犬のようなコレイの笑顔を思い出していた。
 

 結局、ティナリの予想通りコレイの挙動不審は数日で落ち着いたようで、すぐに今までどおりの態度で接してくれるようになった。
 以前と変わらぬ懸命な仕草で後ろをついてくるコレイに安堵しながら、俺は探りを入れる勇気もないままモヤモヤとした日々を過ごす羽目になったが――ここだけの話、この悩みの答えが出るのはそれから何年も先のことなのである。


#夢主とエッチなことをする夢を見ちゃったときのお相手の反応
2023/10/08

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