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問答無用のダジャレイディ

「小鳥……コトリ。――あ、小鳥が怒っとります……?」
 彼女の口から紡がれるダジャレたちは、この冬時分には些かつらいものである。ペルソナの氷結弱点とはあまり関係ないものだろうが、どこか背筋が凍えたような心地を感じるのも事実。一言で言うなら、サムい。
 だがしかし、頻りに言葉を探しながら、名案を思いついては顔を綻ばせ、まるで子供のようにネタを披露する彼女を止めるつもりもない。何故ならそれが、今はもうどこにも居ない、厳密に言うなら義父でもないあの男との縁を繋ぎとめる、彼女なりの想いの表れなのだと知っているからだ。
 血の繋がりなんて初めからない。「家族」となったわけでもない。非情で残忍な裏の顔を持っていた裏切り者が、本当に彼女を想っていたのかも今となっては確かめる術はない。
 それでも、愛しているのだろう。「おとうさん」と慕う彼を、彼を愛した「おかあさん」を、必死で信じようとしている姿は、時に痛々しくもある。
 だから俺は止めないし、彼女も場は弁えているだろうから諫める必要は今もない。彼女の想いを見守るのは、1人の女の子を救い、寄り添うと決めた俺にとって、当然のことだろうと思うからだ。






「――とかなんとかかっこいいこと言っといて、真田サンも持て余してるだけじゃねえの?」
「それは言わない約束って奴じゃない?」
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