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無題

お題は『近すぎると怖い、離れても嫌。』です。
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 刀と審神者。神と人。兄と妹。どれでもあって、どれでもない。そんな関係だと思っていた。否、そんな関係であろうとした。
 彼と自分には明確な違いがあって、しかしそれは時としてひどく朧気にも感じられてしまうもの。私たちは、たとえ同じ人の形をとっていても、決して同じ“者”ではない。寿命と呼べるものか如何か、生物と呼べるのか、とにかく生きている時間さえこんなにも違っているのに、それを「同じ」だなんて、少なくとも私には言えない。
 だから遠ざけようとした。だからやめようと思った。自分のなかに一線を引いて、彼と距離を保つことで、彼を兄として、自らを妹として、「姉の刀剣」として見て、審神者である自分を守ろうとした。そうあってはいけない、それを認めてはいけない。決して同じになってはいけない。同じものを見て、同じ世界に生きてはいけないと、自分を律していこうとして。結局それも、失敗に終わってしまったのだけれど。
 獅子王は「俺たちには俺たちのやり方がある」と言ってくれたけれど、それでも私はやっぱり怖い。彼を信じていないわけではなくて、いつか終わりの来る関係に身をゆだねることが、彼なくては生きられなくなることがとても怖いの。私はお姉ちゃんみたいに、すべてを捧げることなんか絶対に出来やしないのだろうと思う。
 だけど、いっそ離れてしまうことが出来ないのも紛れもない事実なわけで。もう少しこの、宙ぶらりんであやふやなぬるま湯に浸かっていることは、許されるのだろうか。明日終わりが来ても良いように、明後日に悔やんだりしないように、今日も彼と共にいる。それくらいのわがままは許してほしいと、そう願ってしまう自分もまた、ひどく浅はかなのだろう。
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