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物理的に柔らかい

「なまえ、最近抱き心地良くなったな」
 背後から伸びた両の手が、あたしの体を抱きすくめる。至くん曰くあたしは抱き込むのにちょうどいいサイズらしく、ゲームの合間に手が空くとこうしてへばりついてくるのだ。
 別にここから何があるわけでもない。この人は、抱きつかれる度にあたしがどんな思いでいるかなんて知りもしない。次第にあたしも彼の行動に慣れてきて、初めほど取り乱すことはなくなった。相変わらず心臓はうるさく鳴り響いているけれど、それでも顔には出なくなってきただろう。もちろん当の至くんはあたしの気持ちなんて考えもせず抱き心地の話なんて――抱き心地?
「至くん、それ、太ったって言いたいの?」
「さあ? 俺は嫌いじゃないよ、この感触」
「どう足掻いてもセクハラ親父」
「辛辣すぎワロタ」

20180428
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