好きなのは?
好きなのは?「あーーー!!それ私の最後のプリンです!!」
目の前で、エースさんが……私のプリンを……
ものの見事に一口で食べた。
「限定の……私の……最後の………」
「あー悪かった、知らなかったなーお前のだなんて」
絶対嘘だ、絶対知ってたんだ。
「あれだけ言ってたじゃないですか!食べないでくださいねって!お風呂あがったら食べますからって!!」
お風呂上がりの私に見せつけるかのように食べたエースさんは絶対確信犯だ。
「だからわりぃって」
「もう……エースさんなんて知りません!」
泣きそうになる私にエースさんは怒り顔。
……でも知らないです。
こんなにエースさんが意地悪だったなんて……!
いや、知ってましたけど!
「へぇー……知らねェんだな」
「ふぇ?」
「俺とプリン、どっちが好きなんだよ!」
プリンごときにコノヤロウ!とエースさんが私の頭をグリグリし始めた。
「やめてください!グリグリやめてください!!」
「ほら、言え!どっちが好きなんだ!」
「えっ、えーっと……」
今はどっちかというとプr……
「お前……」
エースさんは私の顔を手ではさんだ。
近い、近い!
「どっちが好きなんだよ?」
はんぱない、色気が。
鼻血でそうです、ヤバイです。
「エ、エースさんです……」
そう言うとエースさんは満足げにニィっと笑った。
「大好きな俺がお前の好物食ったんだ、文句ねェだろ」
ちょっと意味がわかりません。
「あーまだ残ってるぜ?プリン」
「へ?」
ぐいっと顔が近づいてきたので反射的に思いっきりよけた。
「テメェ……」
「え、い、いや……だって………!」
「俺とプリン、どっちも味わえるチャンスだったのに、残念だったな?★」
ニヤリと笑ってエースさんは言った。
チャンス……逃してしまった。
ガックリとうなだれる私を見てエースさんはまたニヤリと笑った。
このニヤリ顔を睨めない自分が恨めしい。
チュッ、と音をつけて唇の端にエースさんの唇が触れた。
「ま、これくらいは許してやるよ」
笑って背を向けるエースさんに思わず、ありがとうございます。と行ってしまった。
エースさんがいなくなってから気が付いた。
うまくごまかされてしまった……。
またしても一枚上手のエースさんにまんまとやられた私でした。
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