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臆病者の恋愛ごっこ(1/4)




慣れというものは怖いものだ。

「失礼しました」

パタンと戸を閉めると私は自室へと歩いた。

中には同じベットで眠るエースと新人だと言っていたナースの子の姿。

あぁ、これで何人目だろうか。

彼女はエースに恋人がいる事を知っているんだろうか?

それが私だとわかってたからあんな顔面蒼白していたんだろうか?

恋人と違う女がベットで寝ている。

何をしていたかなんて一目瞭然で

それを冷静沈着に見届け、こうやって何もなかったように歩く私。

何回同じ光景を目にしたかわからない。

その度に冷え切っていく私の心。




「お前、それ……別れりゃいいじゃねェか」

★が今朝の話をするとサッチがさも普通、というようにそう言ってきた。

「わざわざ別れるのもめんどくさいんですよね。別に好きな人がいるわけでもないんで、まぁ、いいか。と」

「それでずるずるきてんじゃねェか」

「まぁ、そうですけど……というか、付き合ってるかもあやしいですけど」

なんだそりゃ、と呆れ気味のサッチ。

最後にまともに会話したのだっていつだろうか?

あれ、最後にシたのって……?

もう思い出せないくらい前だ。

もしかしたら自然消滅してるのかもしれない。

「エースにもう気持ちはないわけ?」

そう言われて★は一瞬考えた。

「……もうわかんないですね。どーでもいいっていうか……」

「どうでもいいってそれもう興味ねェ、の最終形だろ」

「そうなんですかねー………」

★はさも興味がなさそうに言う。

「ま、なるようになんだろ!」

「……ですね」

あまりにあけらかんとして言うもんだから少し心が軽くなった気がした。


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